みんなは沖縄の海に行ったことがあるかな?透き通ったエメラルドグリーンの海、白い砂浜、カラフルなサンゴ礁(しょう)……。沖縄の海は本当に美しくて、まるで宝石箱みたいだよね。でも、こんな話を聞いたことはないかな?「地球温暖化(ちきゅうおんだんか)のせいで、海の水が増えて、いつか島が沈んでしまうかもしれない」って。
「え、そんなことが本当に起こるの?」「海面上昇(かいめんじょうしょう)ってどういうこと?」「沖縄の海はどうなっちゃうの?」——そんな疑問(ぎもん)を持った君たちのために、この記事では地球温暖化と海の関係について、わかりやすく解説していくよ。数字やデータもたくさん出てくるけど、一つずつ丁寧(ていねい)に説明するから、安心してついてきてね!
この記事で学べること
- 地球温暖化のしくみ——なぜ地球の温度が上がっているの?
- 温室効果ガスとは?地球を包む「あったかい毛布(もうふ)」のひみつ
- CO2(二酸化炭素)の濃度(のうど)がどれくらい増えたのか
- 気温が上がると海にどんな変化が起こるのか
- 北極・南極・グリーンランドの氷の「今」
- 海水の「熱膨張(ねつぼうちょう)」のしくみ
- 海面上昇の現在と将来予測——2100年にはどうなる?
- 海面が上がると世界と日本にどんな影響があるのか
- サンゴ礁が消えてしまう?沖縄の海の危機
- 地球温暖化を止めるために世界と私たちができること
- 夏休みの自由研究アイデア3つ
地球が暑くなっている!?温暖化ってどういうこと?

最近、「今年の夏は暑すぎる!」「昔はこんなに暑くなかったのに……」なんて声をよく聞くようになったよね。実は、それは気のせいじゃないんだ。地球全体の温度が、本当に少しずつ上がり続けているんだよ。これが「地球温暖化」と呼ばれる現象(げんしょう)なんだ。
地球の平均気温はどれくらい上がったの?
NASA(アメリカ航空宇宙局:ナサ)のゴダード宇宙科学研究所(GISS:ギス)によると、地球の平均気温は産業革命(さんぎょうかくめい、1750年ごろ)前と比べて、すでに約1.3℃も上昇しているんだ(NASA – Global Temperature)。しかも、2024年は観測史上(かんそくしじょう)もっとも暑い年だったことが確認されているよ(NASA – 2024 Warmest Year on Record)。
日本でも同じ傾向(けいこう)が見られるんだ。気象庁(きしょうちょう)のデータによると、日本の年平均気温は過去100年間で約1.35℃上昇しているよ(気象庁 – 日本の年平均気温)。特に1990年代以降の上昇が目立っていて、みんなのお父さん・お母さんが子どもだったころと比べても、明らかに暑くなっているんだよ。
たった1℃の差がなぜ大問題なの?
「たった1℃でしょ?」って思うかもしれないね。でも、これは地球全体の「平均」の話なんだ。地球全体の平均気温が1℃上がるということは、場所によっては2℃、3℃、あるいはもっと上がっているところもあるということだよ。北極(ほっきょく)では地球平均の2倍以上の速さで温暖化が進んでいるんだ(IPCC AR6 WG1)。
人間の体温で考えてみよう。平熱が36.5℃の人が37.5℃になったら、微熱(びねつ)だよね?38.0℃になったら明らかに体調が悪い。地球にとっての1℃も、それと同じくらい大きな変化なんだよ。地球が「微熱」を出している状態なんだね。
温暖化はいつから始まったの?
地球の温暖化が特に加速したのは、18世紀後半の「産業革命」がきっかけなんだ。産業革命とは、イギリスで始まった大きな変化で、蒸気機関(じょうきかん)の発明によって、工場で大量にモノを作れるようになった時代のこと。この時から、石炭(せきたん)や石油(せきゆ)などの「化石燃料(かせきねんりょう)」を大量に燃やすようになって、大気中のCO2(二酸化炭素:にさんかたんそ)がどんどん増えていったんだよ。
そして今、世界の温室効果ガスの排出量は年間57.1ギガトンCO2換算(2023年のデータ)に達しているんだ(UNEP排出ギャップ報告2024)。ギガトンとは10億トンのこと。つまり、570億トン以上もの温室効果ガスを、人間が毎年大気中に放出しているということだよ。これは過去最高の量なんだ。
温暖化のスピードが加速している!
地球の気温上昇は、年々スピードが速くなっているんだ。過去50年間の温暖化の速度は、過去2000年間のどの時期よりも速いことがわかっているよ(IPCC AR6 WG1)。つまり、地球は今までにないスピードで暑くなっていて、その変化はどんどん加速しているんだね。
温室効果ガスってなに?地球を包むあったかい毛布

地球温暖化の犯人(はんにん)として名前がよく出てくるのが「温室効果ガス(おんしつこうかガス)」だよ。でも、温室効果ガスって一体なんなんだろう?ここでは、その正体を「毛布」のたとえを使って解説するよ。
温室効果ってどういうしくみ?
まず、地球がどうやって温かく保たれているかを考えてみよう。太陽から届く光(エネルギー)が地面や海を温めるよね。温められた地面や海は、今度は「赤外線(せきがいせん)」という目に見えない光を宇宙に向けて放出するんだ。
ここで登場するのが温室効果ガス。大気中の温室効果ガスは、この赤外線の一部をキャッチして、もう一度地面に向かって返してくれるんだ。これが「温室効果」と呼ばれるしくみだよ。まるで地球が温かい毛布に包まれているみたいだね!
温室効果ガスの代表的なものには、次のような種類があるんだ。
- 二酸化炭素(CO2):化石燃料を燃やしたときに出る。温暖化への影響が最も大きい
- メタン(CH4):牛のげっぷや水田、天然ガスから出る。CO2の約80倍の温室効果(20年間で比較)
- 一酸化二窒素(いっさんかにちっそ、N2O):肥料(ひりょう)や工場から出る
- フロンガス:エアコンや冷蔵庫に使われていた人工的なガス
もし温室効果がなかったら、地球はどうなる?
「温室効果ガスが悪者なら、全部なくせばいいんじゃない?」って思うかもしれないね。でも、もし温室効果が全くなかったら、地球の平均気温は今の約15℃ではなく、なんとマイナス19℃になってしまうんだ(気象庁 – 温室効果とは)。今より34℃も低い、氷の世界だよ!温室効果ガスは、適度な量なら地球の生命にとってなくてはならない存在なんだ。問題は、人間の活動によってその量が「増えすぎた」ということなんだね。
CO2濃度がどれくらい増えたの?
温室効果ガスの中で最も影響が大きいのがCO2(二酸化炭素)だよ。では、大気中のCO2はどれくらい増えたのだろう?
NOAA(アメリカ海洋大気庁:ノア)の観測データによると、産業革命前の大気中CO2濃度は約280ppm(ピーピーエム)だったんだ。ppmとは「100万分の1」を意味する単位で、空気の分子100万個のうちCO2が何個あるかを表しているよ。
それが2024年には、なんと424ppmを超えたんだ(NOAA – Trends in Atmospheric CO2)。産業革命前と比べて約1.5倍に増えたことになるね。これは過去80万年間で一度もなかった高い水準なんだよ(NASA – Carbon Dioxide)。
このグラフを見ると、CO2濃度がどんどん右肩上がり(みぎかたあがり)に増え続けているのがわかるよね。しかも、増え方がだんだん急になっているんだ。1960年代は年間約0.9ppmの増加だったけど、最近は年間約2.5ppmも増えている(NOAA – CO2 Growth Rate)。つまり、CO2が増えるスピードも加速しているということだよ。
CO2が増える原因の約75%は、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の燃焼(ねんしょう)だよ。残りの約25%は、森林の伐採(ばっさい)や農業などが原因なんだ(IPCC AR6 WG3)。木を切ると、その木が吸収していたCO2が放出されるし、新たにCO2を吸ってくれる木も減ってしまう。だから、森を守ることも温暖化対策としてとても大切なんだね。
気温が上がると海はどうなるの?
さて、ここからがこの記事の本題だよ。地球の気温が上がると、海にはどんな変化が起こるのだろう?実は、海は地球温暖化の影響を最も大きく受ける場所の一つなんだ。
海面上昇の2つの大きな原因
地球温暖化によって海面が上がる原因は、大きく分けて2つあるんだ。
原因1:氷が溶けて海水が増える
地球上には、グリーンランドや南極(なんきょく)の氷床(ひょうしょう)、山の氷河(ひょうが)など、たくさんの氷があるよね。温暖化で気温が上がると、これらの氷が溶けて水になり、海に流れ込む。当然、海の水の量が増えるから、海面が上昇するんだ。
原因2:海水が温まって「ふくらむ」(熱膨張)
実は、水には温度が上がると体積(たいせき)が増える——つまり「ふくらむ」——という性質があるんだ。これを「熱膨張(ねつぼうちょう)」というよ。海のほとんどは水でできているから、海水が温まるとその分だけ海面が上がるんだね。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書(AR6)によると、海面上昇のうち約40〜50%が熱膨張によるもので、残りが氷の融解(ゆうかい)によるものだよ(IPCC AR6 WG1 第9章)。
過去100年で海面は約20cm上昇した!
IPCC AR6によると、1901年から2018年の約120年間で、世界の海面は約20cm(0.20m)上昇したんだ(IPCC AR6 WG1)。20cmというと「たったそれだけ?」と思うかもしれないけど、世界の沿岸(えんがん)に住む何億人もの人々にとって、この20cmは洪水(こうずい)や高潮(たかしお)の被害を大きく増やす、とても深刻な変化なんだよ。
しかも、海面上昇のスピードはどんどん速くなっているんだ。世界気象機関(WMO:ダブリュエムオー)のデータによると、海面上昇の速度は過去30年間で約3倍に加速しているよ。
- 1993〜2002年:年間約0.21cm(年間2.1mm)
- 2014〜2023年:年間約0.48cm(年間4.8mm)
(WMO – State of the Global Climate 2023)
年間0.48cmというと少なく感じるかもしれないけど、10年続けば約5cm、100年続けば約48cm。しかもこのスピードはこれからさらに加速する可能性があるんだ。海面上昇は「止まらない列車」のようなもので、一度始まると簡単には止められないんだよ。
氷が溶けている!北極・南極・グリーンランドの今

地球温暖化の影響が最もはっきり見えるのが、北極・南極・グリーンランドといった寒い地域の氷の変化だよ。ここでは、それぞれの場所で今何が起こっているのかを見てみよう。
北極の海氷がどんどん減っている
NASAの人工衛星(じんこうえいせい)による観測では、北極の海氷(かいひょう)の面積は、1979年以降10年ごとに約13%のペースで減り続けているんだ(NASA – Arctic Sea Ice)。特に夏(9月)の海氷面積の減少が著しく、1980年代と比べると約40%以上も減っている年があるよ。
北極では気温が地球平均の2倍以上の速さで上昇しているんだ(IPCC – 海洋・雪氷圏特別報告書)。これを「北極増幅(ほっきょくぞうふく)」と呼ぶよ。白い氷が溶けると、氷の下にある暗い色の海面が現れる。暗い面は太陽の光をより多く吸収するから、さらに温度が上がって、さらに氷が溶ける——こんな悪循環(あくじゅんかん)が起こっているんだ。
グリーンランド氷床:年間2,700億トンが消えている
グリーンランドは、デンマークに属する世界最大の島で、島のほとんどが分厚い氷で覆(おお)われているんだ。この氷の層を「氷床(ひょうしょう)」と呼ぶよ。
NASAのデータによると、グリーンランドの氷床は年間約2,700億トン(270ギガトン)もの氷を失っているんだ(NASA – Ice Sheets)。2,700億トンって、どれくらいの量か想像できるかな?東京ドームに水を入れると約124万トンだから、東京ドーム約21万8,000杯分の水が毎年海に流れ込んでいることになるよ!
グリーンランドの氷床がすべて溶けた場合、世界の海面は約7.4メートルも上昇すると推定されているんだ(IPCC AR6 WG1)。7.4メートルというのは、2階建ての家の屋根くらいの高さだよ。もちろん、全部が一度に溶けるわけではないけど、融解のスピードは年々加速しているんだ。
南極の氷床も変化している
南極は地球上で最も大きな氷の貯蔵庫(ちょぞうこ)だよ。南極の氷床には、地球上の淡水(たんすい)の約70%が氷として蓄(たくわ)えられているんだ。NASAの観測では、南極の氷床も年間約1,500億トン(150ギガトン)の氷を失っているよ(NASA – Ice Sheets)。特に西南極(にしなんきょく)氷床の融解が急速に進んでいるんだ。
もし南極の氷床がすべて溶けたら、海面は約58メートルも上昇するんだよ(USGS – If All Glaciers Melted)。58メートルというのは、ビルの15階〜20階くらいの高さ!もちろん、これが起こるのは何千年も先の話だけど、南極の氷がどんどん不安定になっているのは事実なんだ。
陸上の氷と海に浮かぶ氷——海面上昇に影響するのはどっち?
ここで大切な違いを知っておこう。陸上にある氷(氷床や氷河)が溶けると、海に流れ込んで海面が上昇するよ。でも、海に浮かんでいる氷(北極の海氷)が溶けても、海面はほとんど上昇しないんだ。
なぜかというと、海に浮かんでいる氷は、もともと海水の一部を押しのけて浮かんでいるからなんだ。グラスに氷を浮かべた水を考えてみて。氷が溶けても、グラスの水位はほぼ変わらないよね?これと同じ原理だよ(アルキメデスの原理)。だから、海面上昇に直接影響するのは「陸上の氷」のほうなんだ。ただし、北極の海氷が減ることは、気候システム全体に大きな影響を与えるので、決して安心できる話ではないよ。
もし地球上の氷が全部溶けたら、海面は何メートル上がる?
科学者の計算によると、地球上のすべての氷が溶けた場合、海面は約65メートル以上上昇するんだ。内訳は、グリーンランドで約7.4m、南極で約58m、その他の氷河で約0.3〜0.5m(USGS)。もちろん、これが近い将来に起こるわけではないけれど、温暖化が止まらなければ何百年、何千年というスケールで、そういう未来が現実になるかもしれないんだ。
海水の「熱膨張」って何?温めると水はふくらむ!

海面上昇のもう一つの大きな原因、「熱膨張(ねつぼうちょう)」について、もう少し詳しく見ていこう。これは氷の話とは全く違うメカニズムなんだけど、海面上昇への貢献(こうけん)はとても大きいんだよ。
熱膨張のしくみを身近なもので考えよう
物質(ぶっしつ)には、温度が上がると体積が増える——つまり「ふくらむ」——という性質があるんだ。これを「熱膨張」と呼ぶよ。
身近な例を挙げてみよう。夏の暑い日に、道路のアスファルトが波打っているのを見たことはないかな?あれは、アスファルトが熱で膨張(ぼうちょう)して伸びたために起こるんだ。電車のレールにも、夏は膨張して伸びることを考えて、わざとレールの間にすき間が作られているよ。
水も同じなんだ。水を温めると、水の分子(ぶんし)一つひとつの動きが活発になって、お互いの間隔(かんかく)が広がる。すると、同じ量の水でも占(し)める体積が大きくなるんだよ。
海の熱膨張の影響はどれくらい?
海は地球の表面の約71%を覆っていて、その平均の深さは約3,700メートルもある。こんなに大量の海水がほんの少しでも温まると、その膨張の量はとてつもなく大きくなるんだ。
IPCC AR6によると、1971年から2018年にかけて、海洋の上層(0〜700m)の水温は明らかに上昇しているよ(IPCC AR6 WG1 第9章)。実は、地球温暖化で増えた熱の約90%を海が吸収してくれているんだ(IPCC – 海洋・雪氷圏特別報告書)。海がたくさんの熱を吸ってくれているおかげで、地上の気温上昇はまだ「これくらい」で済んでいるとも言えるんだよ。
でも、海が熱を吸い続けた結果、海水の温度が上がって、熱膨張による海面上昇が起こっている。海面上昇の約40〜50%が、この熱膨張によるものなんだ。氷が溶けなくても、海水が温まるだけで海面は上がるんだね。これは多くの人が知らない、ちょっと意外な事実だよ。
おうちでできる実験:水を温めて体積変化を観察しよう!
熱膨張を自分の目で確かめてみよう!
用意するもの
- ペットボトル(500mlくらいのもの)
- ストロー(細めのもの)1本
- 粘土(ねんど)または接着剤(せっちゃくざい)
- 食紅(しょくべに)またはインク(水に色をつけるため)
- お湯(やけどに注意!大人と一緒にやろう)
- ボウルまたは洗面器
実験の手順
- ペットボトルに色をつけた水をぎりぎりまで入れる
- ペットボトルのフタに穴を開けて、ストローを差し込む
- フタとストローのすき間を粘土でしっかり密閉(みっぺい)する(空気が入らないように)
- ストローの中の水の高さに印(しるし)をつける(これが「元の海面」だよ)
- ペットボトルをお湯を入れたボウルの中に立てて、しばらく待つ
- ストローの中の水がどうなるか観察しよう!
結果の見方
お湯で温められると、ペットボトルの中の水が膨張して、ストローの中の水面が上がるはずだよ。これが「熱膨張」なんだ!海でもこれと同じことが起こっていて、海面が上がっているんだね。温めるのをやめて水が冷えると、水面はまた下がるよ。これで、温度と体積の関係がよくわかるね!
海面上昇の今と未来:どこまで上がるの?
ここまでで、海面上昇の原因がわかったね。では、これから海面はどこまで上がるのだろう?科学者たちの予測を見てみよう。
過去の海面上昇はどれくらい?
IPCC AR6によると、1901年から2018年にかけて、世界の平均海面は約0.20m(20cm)上昇したんだ(IPCC AR6 WG1)。20cmと聞くと少なく感じるかもしれないけど、沿岸地域では高潮や洪水のリスクがこの20cmによって大きく増えているんだよ。
そして注目すべきは、上昇のスピードが加速していること。WMO(世界気象機関)の最新データを見てみよう。
- 1993〜2002年:年間約2.1mm(0.21cm)のペース
- 2014〜2023年:年間約4.8mm(0.48cm)のペース
(WMO – State of the Global Climate 2023)
なんと、たった約20年間で上昇スピードが2倍以上に加速しているんだ!この加速傾向が続くと、今世紀末(こんせいきまつ)にはもっと大きな上昇が予想されるよ。
2100年までの将来予測——シナリオ別に見てみよう
IPCCは、将来の温室効果ガスの排出量に応じて、いくつかの「シナリオ」を用意して海面上昇を予測しているんだ。シナリオとは、「もしこうなったら……」という未来のパターンのことだよ。
| シナリオ | 内容 | 2100年の海面上昇予測 |
|---|---|---|
| SSP1-2.6(楽観的) | 温室効果ガスを大幅に削減できた場合 | 0.32〜0.62m(中央値0.44m) |
| SSP2-4.5(中間的) | ある程度の対策を行った場合 | 0.44〜0.76m(中央値0.56m) |
| SSP5-8.5(悲観的) | 対策をほとんど行わなかった場合 | 0.63〜1.01m(中央値0.77m) |
最も楽観的なシナリオでも約32〜62cm、最悪のシナリオでは約1メートルも海面が上がる可能性があるんだ。1メートルというのは、小学1年生くらいの子どもの身長に近い高さだよ。それだけの水が海の上に追加されるイメージだね。
しかも、これはIPCCの「可能性が高い範囲」の予測であって、南極の氷床が想定以上に不安定化した場合には、2100年までに2m以上の上昇もあり得ると一部の研究は警告しているんだ(Nature – Antarctic ice sheet instability)。
海面上昇は2100年で終わりではない!
大切なポイントは、たとえ今すぐ温室効果ガスの排出をゼロにしても、海面上昇は何百年も続くということ。海は巨大な熱の貯蔵庫で、一度温まった海水が冷えるには非常に長い時間がかかるんだ。IPCC AR6は、2100年以降も数百年〜数千年にわたって海面が上がり続ける可能性を指摘しているよ(IPCC AR6 WG1)。だからこそ、今すぐ行動することがとても大切なんだね。
海面が上がるとどうなるの?世界と日本への影響

海面上昇は「数字の話」ではなく、実際に世界中の人々の暮らしを脅(おびや)かしている問題なんだ。世界ではどんな影響が出ていて、日本ではどうなるのか、一緒に見ていこう。
沈みゆく島国たち——ツバル・マーシャル諸島・モルディブ
海面上昇の影響を最も深刻に受けているのが、太平洋やインド洋に浮かぶ小さな島国(しまぐに)たちだよ。
ツバルは、南太平洋にある小さな島国で、国土の平均標高(ひょうこう)がわずか2メートルしかないんだ(国連 – ツバル)。海面が1メートル上がっただけで、国土の大部分が水没(すいぼつ)してしまう可能性があるよ。すでに満潮(まんちょう)時には海水が陸地に押し寄せて、農地に塩水が浸入し、作物が育たなくなるという被害が起こっているんだ。
マーシャル諸島も同様の危機に直面しているよ。首都マジュロの平均標高は約2メートルで、大潮や高潮のたびに道路や家が浸水(しんすい)するんだ(世界銀行 – マーシャル諸島)。
モルディブは、インド洋にある約1,200もの島からなる美しい国だけど、国土の約80%が標高1メートル以下。もし海面が1メートル上昇すれば、国のほとんどが水没してしまうんだ(IPCC AR6 WG2 第15章)。
これらの国の人々は、「気候難民(きこうなんみん)」として他の国に移住しなければならなくなるかもしれない。自分の国がなくなってしまうなんて、想像できるかな?海面上昇は、ただの環境問題ではなく、人々の暮らしや文化、歴史を奪ってしまう問題でもあるんだよ。
日本への影響——砂浜が消える!?

「日本は大丈夫でしょ?」って思うかもしれないけど、全然大丈夫じゃないんだ。環境省(かんきょうしょう)の試算(しさん)によると、もし海面が1メートル上昇すると、日本の砂浜(すなはま)の約90.3%が消失してしまうんだよ(環境省 – 地球温暖化の日本への影響)。
90%以上の砂浜がなくなるってことは、沖縄の美しいビーチも、湘南(しょうなん)の海岸も、白良浜(しららはま)も、ほとんどが水の下に沈んでしまうかもしれないということだよ。海水浴ができる場所がなくなってしまうかもしれないんだ。
さらに、海面が1メートル上昇すると、日本では以下のような影響が出ると試算されているよ。
- 浸水面積:約2,339平方キロメートル(東京都の面積の約1.1倍)
- 影響を受ける人口:約410万人
- 被害額:約109兆円
ゼロメートル地帯って知ってる?
「ゼロメートル地帯(ちたい)」とは、海面と同じか、それよりも低い土地のことだよ。日本では東京の東部(江東区、墨田区、江戸川区など)や、大阪の西部、名古屋の南部などにゼロメートル地帯が広がっているんだ。これらの地域は堤防(ていぼう)で守られているけど、海面が上がったり大型台風が来たりすると、浸水のリスクがとても高くなるよ(国土交通省 – ゼロメートル地帯)。海面上昇は、沿岸地域だけでなく、日本の大都市にも大きな影響を与える問題なんだ。
沖縄への影響
沖縄は周囲を海に囲まれた島だから、海面上昇の影響を特に受けやすいんだ。海面が上がると、以下のような問題が起こる可能性があるよ。
- 低い土地の浸水:沖縄本島や離島の低地が海水に浸かる
- 砂浜の消失:沖縄の美しいビーチが縮小・消失する
- 淡水の汚染:地下水に海水が混じり、飲み水に影響が出る
- 台風被害の拡大:海面が高いぶん、高潮の被害が大きくなる
- サンゴ礁への影響:次の章で詳しく説明するよ
沖縄の離島、特に標高の低い島々は、ツバルやマーシャル諸島と同じような危機に直面する可能性があるんだよ。
サンゴ礁が消えてしまう?海の温暖化の影響

地球温暖化は、海面を上げるだけではないんだ。海水の温度が上がることで、海の中の生態系(せいたいけい)にもとても深刻な影響を与えているよ。その中でも特に心配されているのが、サンゴ礁の問題なんだ。
サンゴの「白化(はっか)現象」って何?
サンゴは動物だって知っていたかな?一見(いっけん)すると岩や植物のように見えるけど、実はイソギンチャクの仲間の小さな動物が集まってできているんだよ。
サンゴの体の中には「褐虫藻(かっちゅうそう)」という小さな藻(も)が住んでいて、サンゴに栄養を与えてくれているんだ。サンゴのあの鮮やかな色は、実はこの褐虫藻の色なんだよ。サンゴと褐虫藻は、お互いに助け合って生きている「共生(きょうせい)」関係にあるんだ。
ところが、海水温が1〜2℃上がると、サンゴはストレスを感じて褐虫藻を体の外に出してしまうんだ。褐虫藻がいなくなったサンゴは、白い骨格(こっかく)だけが透けて見えるようになる。これが「白化現象」だよ(環境省 – サンゴの白化現象)。白化したサンゴは栄養を得られなくなるので、そのまま高水温が続くと死んでしまうんだ。
2024年、沖縄で大規模な白化が起きた
2024年、沖縄の海ではかつてないほどの大規模なサンゴ白化が発生したんだ。WWF(世界自然保護基金)の調査でも、沖縄県内の広い範囲でサンゴの白化が確認されているよ(WWFジャパン – サンゴ礁の危機)。環境省のモニタリング調査でも、石西礁湖(せきせいしょうこ)をはじめとする沖縄各地で深刻な白化が報告されたんだ(環境省 – サンゴ礁モニタリング)。
原因は、2024年の夏に海水温が異常に高くなったことだよ。沖縄周辺の海水温が30℃を超える日が長期間続き、サンゴたちは耐えきれなくなってしまったんだ。
IPCCの警告:1.5℃上昇でサンゴ礁の70〜90%が死滅
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、とても衝撃的(しょうげきてき)な予測を発表しているよ。
- 地球の平均気温が産業革命前から1.5℃上がると:サンゴ礁の70〜90%が死滅する
- 2℃上がると:サンゴ礁の99%以上が死滅する
すでに地球の平均気温は産業革命前から約1.3℃上がっている。あと0.2℃上がっただけで、世界のサンゴ礁の大部分が失われてしまうかもしれないんだ。これは本当に待ったなしの問題だよ。
サンゴ礁がなくなると何が困るの?
「サンゴ礁がなくなっても、自分には関係ないのでは?」と思う人がいるかもしれないね。でも、サンゴ礁は「海の熱帯雨林(ねったいうりん)」とも呼ばれていて、海の中でとてつもなく大切な役割を果たしているんだよ。
- 生物多様性の宝庫:海の生物種の約25%がサンゴ礁に依存している(Coral Reef Alliance)
- 食料源:世界で約10億人がサンゴ礁からの魚介類に食料を頼っている
- 天然の防波堤:サンゴ礁は波のエネルギーの約97%を吸収し、沿岸を高波から守っている
- 経済的価値:サンゴ礁の経済的価値は年間3,750億ドル(約56兆円)と推定されている(ICRI – 国際サンゴ礁イニシアティブ)
- 観光資源:沖縄の観光産業にとって、サンゴ礁は欠かせない存在
サンゴ礁が失われることは、海の生態系全体が崩壊(ほうかい)することにつながるんだ。魚がいなくなれば、漁業(ぎょぎょう)も成り立たなくなる。沖縄の海の美しさも失われてしまう。サンゴ礁を守ることは、私たち人間の未来を守ることでもあるんだよ。
沖縄の海を守るために、地元では何をしているの?
沖縄では、サンゴ礁を守るためにさまざまな取り組みが行われているよ。サンゴの養殖(ようしょく)と移植(いしょく)プロジェクト、日焼け止めの成分がサンゴに悪影響を与えることの啓発(けいはつ)活動、赤土の流出防止、海のモニタリング調査などだよ。みんなも沖縄の海に行くときは、サンゴにやさしい行動を心がけてね!
地球温暖化を止めるために!世界と私たちの取り組み

ここまで読んで、「大変だ!何かしなきゃ!」って思った人も多いんじゃないかな?安心して、世界中の人々がこの問題に取り組んでいるし、君たちにもできることはたくさんあるよ。ここからは、世界の取り組みと、みんなにできることを紹介するね。
パリ協定(きょうてい)——世界の約束
2015年、フランスのパリで開かれた国際会議(COP21)で、世界196の国と地域が一つの大きな約束をしたんだ。それが「パリ協定」だよ(UNFCCC – パリ協定)。
パリ協定の最も大切な目標は、「地球の平均気温の上昇を産業革命前から2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ということ。特に「1.5℃目標」が重要視されていて、IPCC 1.5℃特別報告書で示されたように、2℃と1.5℃の違いは、サンゴ礁の生存や海面上昇の規模に大きな差をもたらすんだ(IPCC 1.5℃特別報告書)。
そのために、1.5℃目標を達成するには、世界のCO2排出量を2030年までに2019年比で43%削減し、2050年ごろまでに実質ゼロ(ネットゼロ)にする必要があるとされているよ(IPCC AR6 WG3)。
日本の目標——2050年カーボンニュートラル
日本は2020年10月に、「2050年カーボンニュートラル」を宣言したんだ(環境省 – 2050年カーボンニュートラル)。カーボンニュートラルとは、CO2などの温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロにすることだよ。
そのための中間目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを目指しているんだ。再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱など)の導入拡大、電気自動車(EV)の普及、省エネルギーの推進などが進められているよ。
世界の取り組み
世界各国でもさまざまな取り組みが進んでいるよ。
- 再生可能エネルギーの拡大:2023年、世界の再エネ発電容量は過去最高を記録(IRENA – Renewable Capacity Statistics 2024)
- 電気自動車(EV)の普及:2024年のEV販売台数は世界で約1,700万台に達した(IEA – Global EV Outlook 2024)
- 植林(しょくりん)活動:世界中で森を増やし、CO2を吸収する取り組みが進んでいる
- プラスチック削減:使い捨てプラスチックの規制が世界的に広がっている
君たちにもできること!

「世界の話はわかったけど、子どもの自分に何ができるの?」って思うかもしれないね。でも、一人ひとりの小さな行動が集まれば、大きな力になるんだよ!
省エネ(しょうエネ)で温室効果ガスを減らそう
- 使っていない部屋の電気を消す
- エアコンの温度を夏は28℃、冬は20℃に設定する
- テレビやゲーム機を使わないときはコンセントを抜く
- シャワーの時間を1分短くする(年間約12kgのCO2削減に!)
3R(スリーアール)を実践しよう
- Reduce(リデュース):ゴミをなるべく出さない。マイボトルやマイバッグを使おう
- Reuse(リユース):ものを何度も使う。フリマやおさがりを活用しよう
- Recycle(リサイクル):分別(ぶんべつ)をしっかりして、資源を再利用しよう
食べ物でもできる温暖化対策
- 食べ残しをしない(食品ロスは世界のCO2排出の8〜10%を占める)
- 地元の食材を選ぶ(輸送のCO2を減らせるよ)
- 旬(しゅん)の食べ物を食べる(ハウス栽培より省エネ)
もっとできること
- 植物を育てる:植物はCO2を吸収してくれる
- 自転車や歩きで移動する:車より環境にやさしい
- 家族や友だちに伝える:知識を広めることも大きなアクション!
- 環境について学び続ける:この記事を読んでいる君は、もう第一歩を踏み出しているよ!
夏休みの自由研究にぴったり!温暖化と海面上昇を調べよう
アイデア1:氷の融解実験——陸上の氷 vs 海に浮かぶ氷
- 2つのコップに同じ量の水を入れて、水面の高さに印をつける
- 1つ目のコップには氷を水に浮かべる(北極の海氷のモデル)
- 2つ目のコップの横に台を置き、その上に氷を乗せる。溶けた水がコップに流れ込むようにする(陸上の氷のモデル)
- 両方の氷が完全に溶けるまで待って、水面の高さの変化を比較する
- 「海に浮かぶ氷」が溶けても水位はほとんど変わらないけど、「陸上の氷」が溶けると水位が上がることを確認しよう
- 結果をまとめて、北極の海氷とグリーンランドの氷床の違いを説明しよう
アイデア2:海面上昇シミュレーション——牛乳パックで作る沿岸都市模型
- 大きな水槽(すいそう)やたらいを用意する
- 牛乳パックや段ボール、粘土で「沿岸の町」の模型を作る(家、道路、港など)
- 町の模型を水槽の端に設置し、ゆっくり水を加えていく
- 水面が1cm上がるごとに、町がどうなるか記録する
- 低い場所から順に浸水していくようすを観察しよう
- 実際の海面上昇のデータと照らし合わせて、どんな影響があるか考えよう
アイデア3:CO2排出量日記——家族の1週間のCO2を調べよう
- 1週間、家族の「エネルギー使用」を記録する(電気、ガス、車の走行距離など)
- 環境省の「うちエコ診断」サイトなどを使って、CO2排出量に換算する(環境省 – うちエコ診断)
- どの活動が最もCO2を出しているか分析する
- 2週目は家族で「CO2削減チャレンジ」をして、どれくらい減らせるか挑戦する
- 1週目と2週目の結果を比較して、グラフにまとめよう
- 感想や「もっとできること」をまとめて発表しよう
まとめ:海を守るために、今日からできること
ここまで、地球温暖化と海の関係について、たくさんのことを学んできたね。最後に、大切なポイントをまとめてみよう。
この記事の重要ポイントまとめ
- 地球の平均気温は産業革命前から約1.3℃上昇し、2024年は観測史上最も暑い年だった
- CO2濃度は産業革命前の280ppmから424ppm以上に増加。過去80万年で最高レベル
- 海面上昇の原因は「氷の融解」と「海水の熱膨張」の2つ
- 過去約120年間で海面は約20cm上昇し、上昇スピードは30年で約3倍に加速
- グリーンランドでは年間2,700億トンの氷が失われている
- 2100年までに海面は0.28〜1.01m上昇する可能性がある(IPCCシナリオ別)
- 海面が1m上がると、日本の砂浜の約90%が消失する
- 1.5℃の気温上昇でサンゴ礁の70〜90%が死滅する可能性がある
- パリ協定で1.5℃目標が掲げられ、日本は2050年カーボンニュートラルを目指している
- 一人ひとりの省エネ、3R、食品ロス削減などの行動が温暖化対策につながる
地球温暖化と海面上昇の問題は、とても大きくて複雑(ふくざつ)に見えるよね。でも、この記事を読んで「なるほど!」「こうすればいいんだ!」って思ったこと一つひとつが、地球の未来を変える力になるんだ。
大切なのは、「知ること」「考えること」「行動すること」の3つ。今日この記事を読んでくれた君は、もう「知る」ことができたね。次は、学んだことを家族や友だちに「伝えて」、そして小さなことからでいいから「行動」してみよう。
沖縄の美しいサンゴの海、日本の砂浜、世界の小さな島国の人々の暮らし——これらを守れるかどうかは、今の私たちの行動にかかっているんだ。未来の海を守るために、今日から一歩を踏み出そう!
参考文献(さんこうぶんけん)
気候変動・温暖化に関する基本資料
- IPCC AR6 WG1 – Climate Change 2021: The Physical Science Basis
- IPCC AR6 WG2 – Climate Change 2022: Impacts, Adaptation and Vulnerability
- IPCC AR6 WG3 – Climate Change 2022: Mitigation of Climate Change
- IPCC – Global Warming of 1.5℃ 特別報告書
- IPCC – 海洋・雪氷圏特別報告書(SROCC)
- IPCC AR6 WG1 第9章 – Ocean, Cryosphere and Sea Level Change
- IPCC 1.5℃特別報告書 第3章
- UNEP – Emissions Gap Report 2024






