必要なのは「国際的」な物の見方?「グローバル」な見方?
そう問いかけられたら思わず「え?何か違うの?」そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
なんとなく同じようなニュアンスのように聴こえる言葉ですが、 「国際的」 と 「グローバル」 は異なる概念なのです。
どちらの視座に立つかで、世界の見え方が変わる。実はそのくらい大きな違いがあるのです。
毎月のように100万人を超える人達が海外へ
アラフィフの私が高校生の頃は、「国際化」という言葉をよく耳にしましたが、いつからしか時代は「グローバル」「グローバリゼーション」が一般的に使われる時代へと変化してきています。
2019年4月の1ヵ月の間に出国した日本人の人数は1,666,546人( 法務省「出国管理統計より)。
今や海外へ行く敷居はグッと低くなり、毎月のように100万人を超える人達が海外へとでかけ、インターネットの普及により、海外の情報や商品も手軽に簡単に手に入れらるそんな時代。
「国際」や「グローバル」 「グローバリゼーション」 という言葉も、私たちの日常へと浸透してきています。
が、その言葉の概念の違いをご存知でしょうか?
どちらも海外と関わるイメージはあっても、なにがどう違うのか、あまり考えることはなかったのではないでしょうか?
「国際的」と 「グローバル」
そう、この2つは似ているようで、異なる概念なのです。
それではまず、それぞれの言葉を英単語で見ていきましょう。
英語で「国際的」を “international” と書きます。この単語は2つの意味、“inter−” と “national” から成り立っていて、
“inter-” は 接頭辞で「~の間、~の中で、相互に」
“national” は「国民の、国家の、国家全体の」
という意味があり、国家単位、国家間で捉えられます。つまりこの言葉の概念の中に「国」という概念が存在します。
また「国際化」は “internationalization” と書き、国家同士や自国と相手国の相互交流を表すニュアンスがあります。
一方、
「グローバル」は英語で “global” と書きます。
“globe” とは の「球、地球、地球儀」
といった意味があり、世界全体、地球規模といったニュアンスを含みます。つまりこちらには「 国」という概念がほとんど存在しません。
さて、ここで質問です。
先ほどの “internationalization”から、英語で「グローバル化」はどう書くか推測できますか?
勘がいい人はお気づきでしょう。
そうです!
“global”に ”ization“ (〜化する)をつけて、“globalization”と書き、国家という枠を越え、地球全体を中心に捉えるニュアンスがあり、よって、あらゆるものが国を超え、世界全体へ移動・輸送・交流する意味合いを持ちます。
「国際化」の時代から 「グローバリゼーション」の時代 へ
言葉の概念を理解したうえで、今がどういう時代なのかと見るとどうでしょうか。日本においても、「国際化」の時代から 「グローバリゼーション」の時代 へと移り行く流れを感じることができると思います。
それは、高度成長を遂げた日本が国際化し、他国との交流を深めた時代を経たからこそ、「グローバリゼーション」の時代が来たと言えるのではないでしょうか。
グローバルな時代を生きる私たち。この先の世界はどうなるのでしょう。
何が大切にされ、何を大切にする世界になっていくでしょうか。
地球規模というとより大きな一体感があり、これからの時代にふさわしい印象ですが、なんでもかんでも「グローバル」に考えることが良いのかというと、この考え方にも弊害はあると言われています。
例えば、どこでも同じようなものが溢れ、同じような街の景色になってしまうことなど。
よりグローバル化が進むことで、もしかしたらより「国」という概念や意識が大切にされ、それに基づく「アイデンティティ」が個性として尊ばれる時代になるのかもしれません。
「国」という意識と「地球」という意識。
自分自身がどちらの視座において1つ1つの物事をとらえ、見ているのか。そしてこれからの時代のリーダーとなっていく子ども達はどうなのだろうか。
そうしたことをこの概念の違いをきっかけ考えてみるのも面白いのではないでしょうか。