みんなは海で泳いだことがあるかな?沖縄の美しいビーチで海に入ったとき、「あれ?なんだか体が流されるぞ?」って感じたことはないかな?実は、海の水はいつも動いているんだ。しかも、その流れは地球全体をめぐる壮大なスケールのもの!海の水がどうして流れるのか、そのしくみを一緒に探検していこう!
海流(かいりゅう)という海の大きな流れは、地球の気候や天気、生き物たちの暮らし、そして私たちの生活にまで深く関わっているんだ。この記事を読めば、海の水が動く理由がわかって、地球のことがもっと好きになるはずだよ!
この記事で学べること
- 海流とは何か、暖流と寒流の違い
- 海流が生まれる3つの原因(風・地球の自転・温度と塩分)
- 世界の海をめぐる大循環のしくみ
- 沖縄を流れる黒潮の秘密
- 海流と気候・環境問題のつながり
- 自分でできる海流の実験アイデア
海流って何だろう?海の水は動いている!

海の水って、ただじっとしているだけだと思っていないかな?実は、海の水はいつも動いているんだ。波のように上下に動くだけじゃなくて、ある方向に向かってずーっと流れ続けている大きな流れがあるんだよ。これが「海流(かいりゅう)」なんだ(Wikipedia – 海流)。
海流は、長い期間にわたって広い範囲で続く海水の大規模な流れのこと。ちょっとした波や潮の満ち引きとは違って、何年も何十年もずっと同じ方向に流れ続けているんだよ。すごいスケールだよね!
海の中にも「川」がある?
みんなは川を知っているよね。山に降った雨が集まって、川になって、海に向かって流れていく。実は、海の中にも「川」のような流れがあるんだ!しかも、その規模は陸の川よりもはるかに大きい。
たとえば、日本の近くを流れる「黒潮(くろしお)」という海流は、幅が約100kmもあるんだ。これは東京から富士山までの距離くらいだよ!しかも、毎秒5,000万トンもの水が流れているんだ(気象庁 – 黒潮)。日本で一番大きい利根川の水の量と比べると、なんと約1,000倍以上!海の中の川は、想像をはるかに超えるスケールなんだね。
ちょっと考えてみよう!
海の水がまったく流れなかったら、どうなると思う?赤道付近の海はどんどん暖まって、北極や南極の海はどんどん冷たくなってしまうよ。海流は、地球全体の温度のバランスを保つ、とても大切な役割を果たしているんだ。
海流には大きく分けて2つの種類があるよ。海の表面近くを流れる「表層海流(ひょうそうかいりゅう)」と、海の深いところを流れる「深層海流(しんそうかいりゅう)」だ。表層海流は主に風の力で動いていて、深さは数百メートルくらいまで。深層海流は温度や塩分の違いで動いていて、海の底のほうをゆっくりと流れているんだ(気象庁 – 海洋の循環)。
暖流と寒流ってどう違うの?

海流にはもう一つの分け方があるよ。それが「暖流(だんりゅう)」と「寒流(かんりゅう)」だ。
暖流は、赤道に近い暖かい地域から、北極や南極に近い寒い地域に向かって流れる温かい海流のこと。暖流が通るところは、周りの海水よりも温度が高いんだ。日本の近くでは、「黒潮」が暖流の代表だよ。
寒流は、その反対で、北極や南極に近い冷たい地域から、赤道に近い暖かい地域に向かって流れる冷たい海流のこと。日本の近くでは、北からやってくる「親潮(おやしお)」が寒流の代表だね(日本海事広報協会 – 海流)。
暖流と寒流のはたらきの違い
暖流は暖かい地方から温かい水を運んでくるから、沿岸の気候を温暖にするはたらきがあるよ。たとえば、黒潮のおかげで沖縄は冬でも比較的暖かいんだ。一方、寒流は冷たい水と一緒にたくさんの栄養分を運んでくるから、プランクトンや魚がたくさん集まる豊かな漁場を作るんだよ。親潮の名前の由来は「魚を育てる親のような潮」という意味なんだって!
| 特徴 | 暖流 | 寒流 |
|---|---|---|
| 流れる方向 | 低緯度(暖かい地域)→ 高緯度(寒い地域) | 高緯度(寒い地域)→ 低緯度(暖かい地域) |
| 水温 | 周りの海水より温かい | 周りの海水より冷たい |
| 気候への影響 | 沿岸を温暖にする | 沿岸を涼しくする |
| 栄養分 | 比較的少ない | 豊富(プランクトンが多い) |
| 日本の例 | 黒潮(日本海流) | 親潮(千島海流) |
海流が生まれる秘密①:風の力

さて、海流はどうやって生まれるんだろう?海の水が自分で動き出すわけじゃないよね。海流が生まれるには、ちゃんとした理由があるんだ。まずは一番大きな原因である「風の力」から見ていこう!
表層海流(海の表面近くの流れ)を動かしている最大の力は、なんと「風」なんだ。地球の上空には、いつも決まった方向に吹いている大きな風があって、この風が海の表面をこすって、海水を押し動かしているんだよ(NOAA – Ocean Currents)。
貿易風と偏西風が海を動かす
地球の上には、いつもほぼ同じ方向に吹いている「恒常風(こうじょうふう)」という風があるんだ。その中でも特に重要なのが、「貿易風(ぼうえきふう)」と「偏西風(へんせいふう)」だよ。
貿易風は、赤道の近く(緯度0度〜30度くらい)で東から西に向かって吹く風のこと。昔、ヨーロッパからアメリカに貿易に行く帆船がこの風を利用していたから「貿易風」って名前がついたんだよ。この風が海の表面を押すことで、赤道付近の海水が西に向かって流れる「赤道海流」が生まれるんだ。
偏西風は、中緯度(緯度30度〜60度くらい)で西から東に向かって吹く風のこと。日本はちょうどこの偏西風が吹いているエリアにあるんだよ。天気予報で「天気は西から変わります」っていうのを聞いたことがないかな?これは偏西風のせいなんだ。偏西風は海の表面を東に押して、「北太平洋海流」などの海流を作り出しているよ(UC Berkeley – Ocean Circulation)。
風と海流の関係を覚えよう!
- 貿易風(東→西):赤道海流を生み出す
- 偏西風(西→東):北太平洋海流などを生み出す
- 極東風(東→西):極地付近の海流を生み出す
これらの風が組み合わさって、海の表面に大きな循環の流れを作っているんだよ!
風が海水を押す仕組み(エクマン輸送)
ここで、ちょっと面白い話があるよ。風が海の表面を押すと、海水はそのまま風と同じ方向に流れると思うよね?でも実は、風の方向とはちょっとズレた方向に流れるんだ!これを「エクマン輸送(ゆそう)」っていうんだよ。
スウェーデンの海洋学者エクマンが1905年に発見したこの現象は、こういう仕組みなんだ。風が海の表面を押すと、海の一番上の水はだいたい風の方向に流れる。でも、その下の水は、上の水に引きずられて動くんだけど、地球の自転の影響で少しずつ方向がズレていく。もっと深いところの水はさらにズレる。こうして、海水全体を平均すると、なんと北半球では風の方向から90度右にズレた方向に水が運ばれるんだ!(NOAA – Boundary Currents)
表層海流は主に海面から約100メートルの深さまでの海水を動かしているんだよ。100メートルっていうと、25メートルプール4つ分の長さだね。海全体の深さ(平均約3,800メートル)に比べたらほんの薄い層だけど、この薄い層がとっても大切な役割を果たしているんだ。
かんたん実験:風で水を動かしてみよう!
洗面器やお風呂に水を張って、水面にストローで息を吹きかけてみよう。水面が波立って、吹いた方向に水が動くのがわかるよ。これが風で海流が生まれる仕組みと同じ原理なんだ。紙吹雪やコショウの粉を水面にまいてから息を吹きかけると、水の動きがよく見えるよ!
海流が生まれる秘密②:地球の自転とコリオリの力

海流が生まれる2つ目の秘密は、「地球の自転(じてん)」だ。地球は1日に1回、自分でくるっと回っているよね(これを自転という)。この自転が、海流の方向を決めるのにとっても重要な役割を果たしているんだ。
メリーゴーラウンドで体感!コリオリの力
「コリオリの力」って聞いたことがあるかな?これは、回転しているものの上で動くものに働く「見かけの力」のことなんだ(Wikipedia – コリオリの力)。ちょっと難しそうだけど、メリーゴーラウンドで考えるとわかりやすいよ!
想像してみて。メリーゴーラウンドが反時計回りに回っているとするね。そのメリーゴーラウンドの上に立って、真ん中に向かってボールを投げたとしよう。ボールは真っすぐ投げたつもりなのに、メリーゴーラウンドが回っているから、ボールは横にそれたように見えるんだ。実際にはボールは真っすぐ飛んでいるんだけど、回転している自分の立場から見ると、曲がったように見えるんだよ(名古屋大学 – コリオリの力)。
地球も同じなんだ。地球は回転しているから、地球の上を動くもの(海の水や空気)には、このコリオリの力がはたらくんだよ。
コリオリの力を発見した人は?
コリオリの力は、フランスの科学者ガスパール=ギュスターヴ・コリオリが1835年に数学的に説明したんだ。でも面白いことに、この力は「見かけの力」で、実際に何かが押しているわけじゃないんだよ。回転しているもの(地球)の上にいるから感じる力なんだ。宇宙から地球を見ている宇宙飛行士には、コリオリの力は見えないんだよ!
北半球は右、南半球は左に曲がる不思議
コリオリの力には、とっても面白い特徴があるんだ。それは、「北半球と南半球で、曲がる方向が逆になる」ということ!
北半球では、動いている方向に対して右に曲がる。だから、北半球の海流は右に右にと曲がっていって、最終的に時計回りの大きな渦(うず)を作るんだ。
南半球では、動いている方向に対して左に曲がる。だから、南半球の海流は左に左にと曲がっていって、反時計回りの大きな渦を作るんだよ。
これが、海流が単に風に吹かれて一直線に流れるのではなく、大きな渦を描くように循環する理由なんだ。コリオリの力がなかったら、風が吹いている方向にまっすぐ水が流れるだけで、今のような複雑な海流のパターンは生まれなかったんだよ。すごいよね!
コリオリの力まとめ
- 地球の自転によって生まれる「見かけの力」
- 北半球:運動方向に対して右に曲がる → 海流は時計回り
- 南半球:運動方向に対して左に曲がる → 海流は反時計回り
- 赤道付近ではほとんどはたらかない
- 極に近いほど強くはたらく
コリオリの力と海流の回転方向
海流が生まれる秘密③:温度と塩分の違い

海流が生まれる3つ目の秘密は、「温度と塩分の違い」だ。これは特に海の深いところを流れる「深層海流」を動かす原因になっているんだよ。この仕組みを「熱塩循環(ねつえんじゅんかん)」って呼ぶんだ(Britannica – Thermohaline Circulation)。「熱」は温度、「塩」は塩分のことだよ。
冷たくて塩辛い水は重い!
みんなは、お風呂のお湯と水道の冷たい水を比べたことがあるかな?実は、冷たい水のほうが温かい水よりも「重い(密度が高い)」んだ。温かい水は軽くなって上に浮き、冷たい水は重くなって下に沈む。これは水の基本的な性質だね。
それに加えて、海水には塩分が溶けているよね。塩分が多い(塩辛い)海水は、塩分が少ない海水よりも重いんだ。だから、「冷たくて」「塩辛い」海水は、とっても重くなって海の底に沈んでいくんだよ。
これが起こるのは主に、北大西洋のグリーンランド周辺と、南極大陸の周りなんだ。これらの場所では、冬になると海が凍るほど冷たくなる。海水が凍るとき、塩分は氷の中に入れないから、周りの海水に残って、塩分濃度が高くなる。こうして「冷たくて塩辛い水」ができて、それが海の底深くまで沈み込んでいくんだよ(NOAA – Thermohaline Circulation)。
やってみよう!温度と塩分の実験
コップに温かいお湯を入れて、食紅で赤く色をつけよう。別のコップには冷たい水を入れて、青い食紅で色をつけよう。大きな水槽や洗面器に水を入れて、赤いお湯と青い冷水を同時にゆっくり入れてみよう。赤いお湯は上に広がり、青い冷水は下に沈むのが見えるはず!これが海の中でも起こっていることなんだ。さらに、冷たい水に塩をたくさん溶かすと、もっと速く沈むのがわかるよ。
1,000年かけて地球を一周する深層海流
北大西洋や南極周辺で海の底に沈み込んだ冷たい水は、海底に沿ってゆっくりと流れていくんだ。その速さは秒速わずか約1cm!人間の歩く速さが秒速約1メートルだから、その100分の1しかないんだよ。ものすごくゆっくりだよね。
でも、このゆっくりした流れが止まることなく何百年も続いて、なんと約1,000年かけて地球の全ての海をぐるっと一周するんだ!大西洋の底を南に向かって流れ、南極の周りを回って、インド洋や太平洋に入り、やがて暖められて上昇し、表面の海流となって再び大西洋に戻っていく。この壮大な循環が、ずっと繰り返されているんだよ(NASA – Thermohaline Circulation)。
深層海流の旅のスケール
今、北大西洋で沈み込んだ海水は、約1,000年後にやっと太平洋で表面に上がってくるんだ。つまり、今海底を流れている水は、鎌倉時代くらいに沈んだ水かもしれないってこと!時間のスケールが壮大すぎてびっくりだね!
世界の海をめぐる大循環!海の5大環流

風の力、コリオリの力、温度と塩分の違い。これらの力が組み合わさることで、海の表面には巨大な渦のような流れが生まれるんだ。この大きな循環の流れを見ていこう!
5つの巨大な渦(ジャイア)
世界の海には、5つの巨大な渦(うず)があるんだ。この渦のことを「環流(かんりゅう)」、英語では「ジャイア(gyre)」って呼ぶよ(NOAA – What is a Gyre?)。
5つの環流は以下の通りだよ:
| 環流の名前 | 場所 | 回転方向 | 主な海流 |
|---|---|---|---|
| 北太平洋環流 | 北太平洋 | 時計回り | 黒潮 → 北太平洋海流 → カリフォルニア海流 → 北赤道海流 |
| 南太平洋環流 | 南太平洋 | 反時計回り | 東オーストラリア海流 → 南太平洋海流 → ペルー海流 → 南赤道海流 |
| 北大西洋環流 | 北大西洋 | 時計回り | メキシコ湾流 → 北大西洋海流 → カナリア海流 → 北赤道海流 |
| 南大西洋環流 | 南大西洋 | 反時計回り | ブラジル海流 → 南大西洋海流 → ベンゲラ海流 → 南赤道海流 |
| インド洋環流 | インド洋 | 反時計回り | アガラス海流 → 南インド洋海流 → 西オーストラリア海流 → 南赤道海流 |
北半球の2つの環流(北太平洋環流と北大西洋環流)は時計回りに回っていて、南半球の3つの環流(南太平洋環流、南大西洋環流、インド洋環流)は反時計回りに回っているよ。これはさっき学んだコリオリの力のせいなんだ(National Geographic – Ocean Gyre)。北半球では右に曲がるから時計回り、南半球では左に曲がるから反時計回りになるんだったよね!
そして面白いことに、環流の西側(大陸の東側)を流れる海流は、東側を流れる海流よりも流れが速くて狭いんだ。黒潮やメキシコ湾流がこれにあたるよ。これを「西岸強化(せいがんきょうか)」っていうんだ。だから黒潮は幅約100kmで速い流れだけど、反対側のカリフォルニア海流はもっと幅広くてゆっくりなんだよ。
グローバルコンベヤーベルト:海の大循環
表面の環流だけじゃなく、海の深いところの流れもあわせて考えると、もっとすごい循環が見えてくるよ。それが「グローバルコンベヤーベルト」だ!工場のベルトコンベアのように、海水が地球全体をぐるぐると回っているイメージから、この名前がついたんだ(National Geographic – Ocean Conveyor Belt)。
その仕組みはこうだよ:
- 北大西洋のグリーンランド周辺で、冷たくて塩辛い海水が海底深くに沈み込む
- 沈んだ水は、大西洋の底を南に向かってゆっくり流れる
- 南極の周りを回って、インド洋と太平洋に入る
- インド洋や太平洋で、ゆっくりと暖められて上昇する
- 暖かくなった表層の海水が、インド洋→大西洋と流れて元の場所に戻る
- また冷やされて沈む…というサイクルを繰り返す
この一周には約1,000年かかるんだったよね。グローバルコンベヤーベルトは地球全体の気候を安定させる、とてつもなく大切なシステムなんだ(Wikipedia – Thermohaline Circulation)。
グローバルコンベヤーベルトの流れ
海流を動かす3つの力のまとめ
- 風の力:表面の海水を押して表層海流を作る
- コリオリの力(地球の自転):海流の方向を曲げて、大きな環流を作る
- 温度と塩分の違い:海水の密度差で深層海流を動かす
この3つの力が協力して、地球全体の海の水を動かしているんだよ!
沖縄を流れる黒潮の秘密

世界の海流のことがわかったところで、私たちの身近な海流について見てみよう。沖縄のすぐ近くを流れている、あの有名な海流について詳しく知ろう!
世界最大級の暖流「黒潮」
「黒潮(くろしお)」は、日本の南側を流れる世界最大級の暖流だよ。「日本海流(にほんかいりゅう)」とも呼ばれるんだ。フィリピンの東から台湾の横を通り、沖縄の西側を流れて、九州・四国・本州の南岸に沿って流れていく、とてつもなく大きな海流なんだ(Wikipedia – 黒潮)。
黒潮の名前の由来は、その「色」にあるんだ。黒潮が流れているところの海の色は、深い青黒色をしているんだよ。これは、黒潮の海水がとても透明で、プランクトンなどの浮遊物が少ないから。透明度が高い水は深い青色に見えるんだったよね(前回の記事「海の色」で学んだね!)。この深い青色が黒っぽく見えることから「黒潮」と名付けられたんだ(気象庁 – 黒潮)。
黒潮のすごいところを数字で見てみよう:
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 流れの幅 | 約100km |
| 流れの深さ | 約700〜1,000m |
| 流速(沖縄西方) | 最大約4km/h(秒速約1m) |
| 流速(紀伊半島沖) | 最大6km/h以上(秒速約1.7m) |
| 水の輸送量 | 毎秒約5,000万トン |
| 水温(沖縄近海) | 夏:28〜30℃、冬:21〜24℃ |
毎秒5,000万トンの水が流れているって、想像できるかな?25メートルプール(約500トン)に換算すると、毎秒10万杯分のプールの水が流れている計算になるよ!とんでもない量だよね。
黒潮が沖縄に与える恵み
黒潮は、沖縄にたくさんの恵みをもたらしているんだ。
①温暖な気候
黒潮は赤道近くの暖かい海水を運んでくるから、沖縄の冬でも海水温が20℃を下回ることはほとんどないんだ。これが沖縄の温暖な気候の大きな理由なんだよ。おかげで、サンゴ礁が発達できるし、亜熱帯の美しい自然が保たれているんだ(琉球新報 – 黒潮)。
②美しい海の色
黒潮の水は透明度がとても高い。栄養分が少ない分、プランクトンや濁りが少なくて、沖縄の海がエメラルドグリーンやコバルトブルーに輝く理由の一つになっているんだ。
③海の生き物たち
黒潮に乗って、南の海からさまざまな生き物がやってくるよ。マグロやカツオ、ジンベエザメなどの大きな魚から、熱帯魚やサンゴの卵(幼生)まで、黒潮はまさに「命の高速道路」なんだ。沖縄美ら海水族館で見られるたくさんの生き物たちも、黒潮があってこそ沖縄に暮らしているんだよ。
④漁業への影響
黒潮自体は栄養分が少ないけど、黒潮と親潮がぶつかるところ(潮目・しおめ)には、栄養豊富な親潮の水と暖かい黒潮の水が混ざって、プランクトンが大発生するんだ。これが日本近海が世界有数の漁場である理由の一つだよ(日本海事広報協会 – 日本近海)。
黒潮の流れは変わるの?
黒潮は時々、紀伊半島沖で大きく南に蛇行(だこう)することがあるんだ。これを「黒潮大蛇行(くろしおだいだこう)」って呼ぶよ。蛇行が起こると、沿岸の漁業や気象に大きな影響が出るんだ。気象庁やJAMSTECが常に黒潮の流れを監視しているよ(JAMSTEC – 黒潮親潮ウォッチ)。
海流と気候の深い関係

海流は、地球の気候にとってなくてはならない存在なんだ。海流がどうやって気候に影響しているのか、見ていこう。
海流がなかったら地球はどうなる?
もし海流がまったく流れなくなったら、地球はどうなるか想像してみよう。
赤道付近の海は太陽の光をたくさん浴びて、どんどん暖まっていくよね。でも北極や南極は太陽の光が弱いから、冷たいままだ。海流がなければ、赤道の暖かい水が高緯度に運ばれないから、赤道付近は今よりもっと暑くなり、極地方は今よりもっと寒くなってしまうんだ。
実際、海流は低緯度の余った熱を高緯度に運ぶ「地球のエアコン」のような役割を果たしているんだよ。海流が運ぶ熱の量は膨大で、地球の南北の温度差を和らげる大きな役割を担っているんだ(Encyclopedia of the Environment – Ocean Circulation)。
わかりやすい例を挙げよう。ヨーロッパのノルウェーは北緯60度くらいにあるけど、冬でもそこまで寒くない。これは暖流のメキシコ湾流(北大西洋海流)が暖かい水を運んでくるおかげなんだ。同じ北緯60度のカナダのラブラドル半島は、寒流のラブラドル海流の影響で、冬はマイナス20℃以下になることもあるよ。同じ緯度なのに、海流の違いでこんなに気候が変わるんだ!
海流が気候に与える影響
- 赤道の熱を極地方に運んで、地球全体の温度差を和らげる
- 暖流が流れる沿岸は温暖で湿潤な気候になる
- 寒流が流れる沿岸は冷涼で乾燥した気候になる
- 暖流と寒流がぶつかるところには霧が発生しやすい
- 海流は大気に水蒸気を供給して雨や台風の原因にもなる
エルニーニョとラニーニャ
「エルニーニョ」や「ラニーニャ」という言葉を聞いたことがあるかな?これは、赤道太平洋の海面水温が変動する現象で、海流と大気の相互作用によって起こるんだ。世界中の天気に大きな影響を与えることで知られているよ(JAMSTEC – エルニーニョコラム)。
エルニーニョ現象は、赤道太平洋の東側(南米ペルー沖)の海面水温がいつもより高くなる現象だ。普段は貿易風(東から西に吹く風)が暖かい海水を西側(東南アジア側)に吹き寄せているんだけど、エルニーニョのときは貿易風が弱くなって、暖かい水が東側に広がるんだ。スペイン語で「男の子」「幼子イエス・キリスト」という意味で、クリスマスの時期に起こりやすいことから名付けられたんだよ。
ラニーニャ現象はその逆で、赤道太平洋東側の海面水温がいつもより低くなる現象だ。貿易風がいつもより強くなって、冷たい深層の水が表面に上がってくるんだ。スペイン語で「女の子」という意味だよ。
エルニーニョが起こると、日本では冷夏や暖冬になりやすく、ラニーニャが起こると、猛暑や厳冬になりやすいと言われているよ。海の水温のちょっとした変化が、はるか遠くの天気にまで影響するなんて、地球ってつながっているんだね(名古屋大学 – エルニーニョ)。
2026年はどうなる?
2026年の夏にはエルニーニョ現象が発生する可能性があると予測されているんだ。エルニーニョが発生すると、沖縄を含む日本では、夏の気温が平年より低くなったり、降水量が変化したりする可能性があるよ。海流と気候の関係を知っていると、ニュースの見方も変わるよね!
海流と環境問題

海流のことをたくさん学んできたね。最後に、海流と環境問題の関係について考えてみよう。海流は今、地球温暖化や海洋ゴミの問題と深く結びついているんだ。
地球温暖化で海流が変わる?
地球温暖化は、海流にも大きな影響を与えているんだ。特に心配されているのが、北大西洋の深層循環(AMOC:大西洋子午面循環)が弱まる可能性だよ。
どういうことかというと、地球温暖化が進むと、北極やグリーンランドの氷が溶けるよね。溶けた氷は真水(淡水)だから、周りの海水の塩分濃度が下がってしまう。すると、海水が軽くなって沈み込みにくくなる。沈み込みが弱くなると、グローバルコンベヤーベルト全体の流れが弱くなってしまう可能性があるんだ(Penn State – Ocean Circulation)。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では、大西洋子午面循環(AMOC)は21世紀中に弱まる可能性が高いと指摘されているんだ。もしこの循環が大きく弱まると、ヨーロッパの気候が寒冷化したり、世界中の気象パターンが変わったりする可能性があるよ。
映画「デイ・アフター・トゥモロー」を知っている?
2004年のハリウッド映画「デイ・アフター・トゥモロー」は、海流の循環が止まって地球が急激に寒冷化するという話だったんだ。映画のように数日で急激な変化が起こることは科学的にはありえないけど、海流の変化が気候に大きな影響を与えるという点は、科学者たちも本当に心配していることなんだよ。
海洋ゴミを運ぶ海流
海流には、もう一つ深刻な問題がかかわっているんだ。それは「海洋プラスチックゴミ」の問題だよ。
私たちが捨てたプラスチックゴミが川を通じて海に流れ込むと、海流に乗って世界中に広がっていく。そして、5つの環流(ジャイア)の中心部分には、ゴミがたまりやすい場所があるんだ。これを「ゴミベルト」って呼ぶよ。特に有名なのが、北太平洋環流の中心にある「太平洋ゴミベルト(グレート・パシフィック・ガベージ・パッチ)」で、その面積は日本の面積の4倍以上とも言われているんだ(環境省 – 海洋ごみ学習教材)。
環流の中心は、渦の中心にゴミが集まってくるような構造になっているんだ。水面に浮いたゴミが海流に乗って渦の中に入ると、渦の中心に向かって少しずつ移動していって、そこにたまってしまう。一度渦の中心にたまったゴミは、なかなか外に出られない。これが長い年月をかけて積み重なって、巨大なゴミの集積地ができてしまったんだよ。
沖縄のビーチにも、海流に乗ってたくさんのゴミが漂着しているよ。中には、はるか遠くの国から流れてきたゴミもあるんだ。ペットボトルに書かれた文字を見ると、中国語やハングル(韓国語)が書かれていることも多いんだよ。これは黒潮や対馬海流などの海流に乗って、東アジアから流れてきたものなんだ。
自由研究アイデア:海流の実験をしてみよう!
海流のしくみがわかったところで、実際に自分で実験してみよう!夏休みの自由研究にもぴったりだよ。
実験①:温度差で海流を再現しよう
テーマ:温度差による海水の動きを観察しよう
海の深層循環は温度差で起こるんだったよね。これを家庭で再現してみよう!
用意するもの
- 透明な水槽や大きめのプラスチック容器
- お湯と氷水
- 食紅(赤と青の2色)
- 小さなコップまたはペットボトルのキャップ 2個
- 食塩
やり方
- 水槽にぬるい水(常温の水)を入れる
- 小さなコップにお湯を入れて赤い食紅で色をつける
- 別の小さなコップに氷水を入れて青い食紅で色をつけ、さらに塩を大さじ1杯溶かす
- 水槽の片側にお湯のコップを、反対側に氷水のコップをそっと沈める
- 赤い水(暖かい水)は上に広がり、青い水(冷たくて塩辛い水)は底に沈んで広がるのを観察しよう
- しばらくすると、水槽の中に循環の流れができるよ!
考えてみよう
- 赤い水と青い水はどのように動いた?
- 塩を入れないバージョンと比べて、動きに違いはある?
- この実験と実際の海の深層循環はどこが同じで、どこが違う?
実験②:コリオリの力を体感しよう
テーマ:回転する地球の上で起こる不思議な力を体感しよう
コリオリの力は目に見えないけど、体を使って体感することができるよ!
用意するもの
- 回転イス(くるくる回るイス)
- 柔らかいボール
- 友だち1人
やり方
- 回転イスに座って、ゆっくり反時計回りに回転する(北半球を想定)
- 回転しながら、正面にいる友だちに向かってボールを投げてみよう
- まっすぐ投げたつもりなのに、ボールが右にそれるのを観察しよう
- 今度は時計回りに回転して(南半球を想定)、同じことをやってみよう
- 今度はボールが左にそれるはず!
注意
- 回転イスから落ちないように気をつけてね!
- 目が回ったら休憩しよう
- 広い場所で、壊れやすいものがないところでやろう
考えてみよう
- なぜボールがそれて見えるの?
- 回転を速くしたら、それ方はどう変わる?
- 地球の自転は1日1回だけど、それでも海流に影響するのはなぜ?
実験③:ビーチの漂着物を調べよう
テーマ:海流が運んでくるものを調査しよう
海流は遠くからいろいろなものを運んでくるよ。ビーチに行って、何が漂着しているか調べてみよう!(みなとラボ – 海の流れ実験(後編))
用意するもの
- 記録用のノートとペン
- カメラ(スマートフォンでもOK)
- ゴミ袋と軍手
- メジャーまたは定規
- 地図(漂着物の出身地を調べるため)
やり方
- 海岸で漂着物を探して、種類ごとに分類しよう(プラスチック、木、ガラス、自然物など)
- それぞれの漂着物の写真を撮って、特徴を記録しよう
- 外国語が書かれたゴミがあれば、何語か調べてみよう
- 天然の漂着物(流木、海藻、貝殻など)も記録しよう
- どの方向からの海流で運ばれてきたか、地図で考えてみよう
- 季節によって漂着物の種類や量が違うか、複数回調査してみよう
考えてみよう
- 外国のゴミはどの海流に乗ってやってきた?
- 漂着物の種類で一番多かったのは何?
- 海をきれいにするために、私たちに何ができる?
沖縄周辺の主な海流と漂着ゴミの流れ
まとめ:海流は地球の「血液循環」
ここまで海流のしくみについてたくさん学んできたね!最後にまとめてみよう。
海流は、地球にとって「血液循環」のような存在なんだ。私たちの体の中で血液が酸素や栄養を運んでいるように、海流は熱や栄養分を地球全体に運んでいる。この循環が止まったら、地球の気候はめちゃくちゃになってしまうんだ。
この記事で学んだこと
- 海流とは:長期間にわたり広域で続く海水の大規模な流れ。暖流と寒流がある
- 海流の原因①:風:貿易風と偏西風が海の表面を押して表層海流を作る
- 海流の原因②:コリオリの力:地球の自転で海流が曲がり、大きな環流を作る(北半球は時計回り、南半球は反時計回り)
- 海流の原因③:温度と塩分:冷たくて塩辛い水は沈み込んで、1,000年かけて地球を一周する深層循環を作る
- 5大環流:世界の海には5つの巨大な渦(ジャイア)がある
- グローバルコンベヤーベルト:表層と深層を合わせた地球規模の大循環
- 黒潮:世界最大級の暖流で、沖縄に温暖な気候と豊かな海をもたらす
- 気候との関係:海流は地球のエアコンとして気候を安定させている。エルニーニョ・ラニーニャは海流と大気の相互作用
- 環境問題:地球温暖化で海流が弱まる可能性、海洋ゴミを運ぶ問題
海流は目に見えにくいけど、地球の環境を支えるとても大切な存在だよ。沖縄の美しい海も、黒潮という偉大な海流のおかげで存在しているんだ。
みんなが次に海を見るとき、「この海の水はどこから来たんだろう?」「この水はこれからどこに流れていくんだろう?」って考えてみてほしい。目の前の海は、地球全体の大きな循環の一部なんだ。海の水は世界中つながっていて、約1,000年かけて地球を一周している。そう思うと、海がもっと不思議で、もっと大切なものに感じられるんじゃないかな。
参考文献
- 気象庁 – 海洋の循環
- 気象庁 – 黒潮
- 気象庁 – 日本近海の海流
- 国立環境研究所 – 大気と水の循環
- JAMSTEC – 海流予測プロジェクト
- JAMSTEC – 黒潮親潮ウォッチ
- JAMSTEC – エルニーニョコラム
- 海上保安庁 – 日本近海の海流
- 環境省 – 海洋ごみ学習教材
- JAXA – 海中天気予報
- NOAA – Ocean Currents
- NOAA – Thermohaline Circulation
- NOAA – What is a Gyre?
- NOAA – Boundary Currents
- NASA – Thermohaline Circulation
- National Geographic – Ocean Gyre
- National Geographic – Ocean Conveyor Belt
- Britannica – Ocean Current
- Britannica – Thermohaline Circulation
- UC Berkeley – Ocean Circulation
- Penn State – Ocean Circulation
- Encyclopedia of the Environment – Ocean Circulation
- Woods Hole Oceanographic Institution – Currents, Gyres, Eddies
- 東京大学 地球惑星物理学科 – 海洋
- 東京大学 海洋アライアンス – 海のトリビア
- 日本海事広報協会 – 海流
- 日本海事広報協会 – 日本近海
- 学研キッズネット – 黒潮
- スペースシップアース – 海流
- スキューバモンスターズ – 海流
- みなとラボ – 海の流れ実験
- みなとラボ – 海の流れ実験(後編)
- 名古屋大学 – コリオリの力
- 名古屋大学 – エルニーニョ
- キッズ日本海学 – 海の秘密
- 琉球新報 – 黒潮
- Wikipedia – 海流
- Wikipedia – 黒潮
- Wikipedia – コリオリの力
- Wikipedia – Ocean Current
- Wikipedia – Thermohaline Circulation



