みんなは海の底がどうなっているか、想像したことはあるかな?太陽の光がキラキラ輝(かがや)く浅い海とは違って、深い深い海の底には、真っ暗闇(まっくらやみ)の不思議な世界が広がっているんだ。そこには、私たちが想像もできないような姿(すがた)をした、ふしぎな生き物たちがたくさん暮らしているんだよ。
頭が透明な魚、自分で光を出す生き物、5年以上も何も食べずに生きる虫、口も胃もない巨大なミミズ……。まるでSF映画(えいが)やファンタジーの世界みたいだよね。でもこれは全部、私たちの住む地球の海で実際に起きていることなんだ!
しかも、深海は宇宙(うちゅう)よりも調査が進んでいないと言われていて、まだまだ知られていないことがたくさんあるんだよ。地球の海の平均の深さは約3,800メートル。その深い海の底には、いったいどんな秘密(ひみつ)が隠(かく)されているんだろう?さあ、一緒に深海の大冒険(だいぼうけん)に出かけよう!
この記事で学べること
- 深海ってどんな場所?——光も届かない暗闘と水圧の世界
- チョウチンアンコウやダイオウイカなど、すごい深海生物たちを紹介!
- 暗い海で光る!生物発光(せいぶつはっこう)のふしぎなしくみ
- 深海の生き物はなぜ巨大(きょだい)になるの?深海巨大症のナゾ
- 深海の食べ物事情——マリンスノーと鯨骨群集(げいこつぐんしゅう)
- 高い水圧にどうやって耐(た)えているの?深海生物のすごい体
- 沖縄のすぐ近くにも深海がある!日本の深海のひみつ
- しんかい6500から最新技術まで!深海探査(たんさ)の冒険
- 夏休みの自由研究にチャレンジ!深海をもっと知ろう
深海ってどんな場所?光と水圧の不思議な世界

「深海(しんかい)」って聞くと、なんだか暗くて怖(こわ)い場所をイメージするかもしれないね。でも、深海はとっても不思議で魅力的(みりょくてき)な場所なんだよ。まずは、深海がどんな環境(かんきょう)なのかを学んでいこう。
深海は水深200メートルより深い場所
科学の世界では、一般的に水深200メートルより深い場所を「深海」と呼んでいるんだ(JAMSTEC GODAC – 深海とは)。200メートルというと、東京タワーの高さ(333メートル)の約3分の2くらいだね。「え、たった200メートルで深海なの?」って思うかもしれないけど、海の中ではこの200メートルを境(さかい)に、世界がガラリと変わるんだよ。
地球の海の平均の深さは約3,800メートル。そして世界で一番深い場所は、太平洋にあるマリアナ海溝(かいこう)のチャレンジャー海淵(かいえん)で、その深さはなんと10,983メートル!(Wikipedia – チャレンジャー海淵)。エベレスト山(8,849メートル)をひっくり返して沈めても、まだ山のてっぺんが海底に届かないくらいの深さなんだよ。すごいね!
光の3つの層——有光層・薄光層・無光層
海の中は深さによって、太陽の光の届き方が大きく変わるんだ。科学者たちは光の量によって、海を大きく3つの層(そう)に分けているよ。
有光層(ゆうこうそう):水深0〜200メートル
太陽の光がしっかり届く明るい場所だよ。サンゴ礁(しょう)やカラフルな魚たちが暮らすのは、ほとんどこの層なんだ。植物プランクトンが光合成(こうごうせい)をして酸素を作っているのも、この層が中心だよ。みんなが海水浴やスノーケリングで泳ぐのも、この層の中だね。
薄光層(はっこうそう):水深200〜1,000メートル
太陽の光がかすかに届く「うす暗い世界」だよ。人間の目にはほとんど見えないくらいのわずかな光しかない場所なんだ。ここには太陽の光を少しでも集めようと、大きな目を持つ魚たちが暮らしているよ。この層は「トワイライトゾーン(夕暮れの世界)」とも呼ばれているんだ。
無光層(むこうそう):水深1,000メートル以深
太陽の光がまったく届かない、永遠(えいえん)の暗闇の世界だよ。ここに住む生き物たちは、一生、太陽の光を見ることがないんだ。でも真っ暗だからといって何もいないわけじゃない。自分で光を出す生き物たちが、暗闇の中でキラキラと輝いているんだよ。
ちょっと考えてみよう!
もし太陽の光が1,000メートルの深さまで届かないとすると、海の大部分は暗闇だということになるよ。地球の海の平均の深さは約3,800メートルだから、海の底の大部分は太陽の光がまったく届かない真っ暗な世界なんだ。実は、海の約90%以上が深海と言われているんだよ。地球上で最も広い環境なのに、まだ調査されたのはほんの一部だけなんだ。
水圧——海の中はものすごい押しつぶす力がかかる
深海のもうひとつの大きな特徴(とくちょう)が水圧(すいあつ)だよ。水圧というのは、水の重さで押(お)しつぶされる力のこと。私たちが普段(ふだん)暮らしている地上にも空気の重さによる圧力(「1気圧」という)がかかっているんだけど、海の中では水深が10メートル深くなるごとに、約1気圧ずつ圧力が増(ふ)えていくんだ(JAMSTEC – 海洋観測コラム:深さと圧力)。
これを計算すると、とんでもない数字になるよ。
深さごとの水圧をイメージしてみよう!
- 水深10メートル(プールの底くらい):2気圧——指の爪(つめ)の上に1kgの重りを置いた感じ
- 水深200メートル(深海の入口):21気圧——体全体に自動車2台分の重さ
- 水深1,000メートル:101気圧——指の爪の上に100kgの力士が乗った感じ!
- 水深6,500メートル(しんかい6500の限界):651気圧——体全体にゾウ50頭以上の重さ
- 水深10,983メートル(マリアナ海溝の底):約1,100気圧——1平方センチメートルに約1.1トンの力!
マリアナ海溝の底では、1平方センチメートル(指の爪くらいの面積)に約1.1トン、つまり小型(こがた)の自動車1台分の重さがかかっているんだ。もしも人間がそのまま深海に行ったら、ペシャンコに押しつぶされてしまうよ。それなのに、深海の生き物たちは平気で暮らしているんだから、本当にすごいよね!
深海の水温と5つの層区分
深海のもうひとつの特徴は、水温がとても低くてほぼ一定(いってい)ということだよ。深海の水温は、だいたい2〜4℃くらい。冷蔵庫(れいぞうこ)の中とほぼ同じ温度なんだ。季節(きせつ)が変わっても深海の水温はほとんど変わらないから、深海の生き物たちは一年中、冷たい環境で暮らしているんだよ(Wikipedia – 深海)。
科学者たちは、深海をさらに細かく5つの層に分けているよ。次の表を見てみよう。
| 層の名前 | 深さ | 特徴 | 住んでいる生き物の例 |
|---|---|---|---|
| 中深層(ちゅうしんそう) | 200〜1,000m | わずかな光が届く。日周鉛直移動(にっしゅうえんちょくいどう)する生き物が多い | ハダカイワシ、ムラサキカムリクラゲ |
| 上部漸深層(じょうぶぜんしんそう) | 1,000〜1,500m | 光が完全になくなる。発光する生き物が増える | チョウチンアンコウ、ヨコエソ |
| 下部漸深層(かぶぜんしんそう) | 1,500〜3,000m | 水圧が非常に高い。食べ物が少ない | デメニギス、ラブカ |
| 深海層(しんかいそう) | 3,000〜6,000m | 海底の大部分。水温2〜4℃で一定 | ナマコ類、多毛類(たもうるい) |
| 超深海層(ちょうしんかいそう) | 6,000m以深 | 海溝の中だけにある極限環境(きょくげんかんきょう) | カイコウオオソコエビ、超深海性の微生物 |
出典:JAMSTEC GODAC – 深海とは、Wikipedia – 深海
こうして見ると、深海にもいろいろな「階層(かいそう)」があって、それぞれの深さに適応(てきおう)した生き物がいることがわかるね。さあ、次はいよいよ、深海に住むすごい生き物たちに会いに行こう!
覚えておこう!深海の3つのキーワード
- 暗闇(くらやみ):水深200mを過ぎると太陽の光はほとんど届かず、1,000mを超えると完全な暗闇
- 高水圧(こうすいあつ):10mごとに1気圧増加。マリアナ海溝底部で約1,100気圧
- 低温(ていおん):深海の水温は2〜4℃でほぼ一定。冷蔵庫の中くらいの冷たさ
深海のすごい生き物たちを紹介!

深海には、私たちの想像を超えるような不思議な姿をした生き物がたくさんいるよ。暗闘で高圧の過酷(かこく)な環境を生き抜くために、深海の生き物たちは驚くような進化をとげてきたんだ。ここでは、特に面白い深海生物たちを紹介していくよ!
チョウチンアンコウ——暗闇で光る「提灯(ちょうちん)」
深海生物の中でも特に有名なのが、チョウチンアンコウだよ。頭の上にある釣り竿(つりざお)のような突起(とっき)の先が光る姿は、みんなも映画や図鑑(ずかん)で見たことがあるかもしれないね。
チョウチンアンコウの仲間は世界中の深海に166種も確認されているんだ(東京大学大気海洋研究所 – チョウチンアンコウ)。光っているのは、頭の「エスカ」と呼ばれる器官(きかん)に住みついている発光バクテリア(光る細菌)なんだよ。この光で暗い海の中でエサとなる小魚やエビなどを引き寄(よ)せて、パクッと食べるんだ。まさに「生きた釣り竿」だね!
でも、チョウチンアンコウの本当にびっくりする話はここからだよ。実は、光っているのはメスだけなんだ。じゃあオスはどうしているかというと……なんと、オスはメスの体にくっついて合体(がったい)しちゃうんだ!暗い深海でパートナーを見つけるのはとても難しいから、オスは一度メスを見つけると、メスの体に噛(か)みついて、やがて血管(けっかん)までつながって一体化してしまうんだよ。オスはメスの体から栄養をもらって生きていくんだ。自然界にはこんな不思議な生き方をする生き物もいるんだね。
ダイオウイカ——海の中の巨大モンスター
深海にはとてつもなく大きな生き物も住んでいるよ。ダイオウイカは、全長が最大約18メートルにもなる巨大なイカだよ(Wikipedia – ダイオウイカ)。18メートルというと、大型バスくらいの長さだね。その目の大きさも驚きで、直径(ちょっけい)が約25センチメートルもあるんだ。これはバスケットボールと同じくらいの大きさだよ。こんな大きな目を持っているのは、暗い深海でわずかな光も見逃(みのが)さないためなんだ。
ダイオウイカは長い間「幻(まぼろし)の生き物」と言われてきたんだけど、2012年にNHKの撮影(さつえい)チームとアメリカのディスカバリーチャンネルのチームが、ついに世界で初めて生きたダイオウイカの撮影に成功したんだよ(国立科学博物館 – みんなが聞きたいダイオウイカの話)。水深630メートルの深海で、金色に輝(かがや)く巨大なイカが姿を現したときは、世界中の人が興奮(こうふん)したんだ。
ちなみに、ダイオウイカとよく似た名前のダイオウホウズキイカは、ダイオウイカよりもさらに重い、世界最大の無脊椎動物(むせきついどうぶつ)と言われているよ。2025年には世界で初めてダイオウホウズキイカの生きた映像が撮影されたんだ(ナショナルジオグラフィック – ダイオウホウズキイカ初撮影、CNN – ダイオウホウズキイカ映像初公開)。深海にはまだまだ撮影されていない巨大生物がいるのかもしれないね!
メンダコ——深海のかわいいアイドル
メンダコは、深海に住むとてもかわいいタコだよ。丸くてぺったんこな体で、まるで帽子(ぼうし)かフリスビーみたいな形をしているんだ。普通のタコは墨(すみ)を吐いて敵(てき)から逃げるけど、メンダコは墨を吐くことができないんだよ。深海には暗闇しかないから、墨を吐いても意味がないんだね。また、普通のタコの吸盤(きゅうばん)は2列に並んでいるけど、メンダコの吸盤は1列だけなんだ。深海での生活に必要ないものは、進化の過程でどんどんなくなっていったんだね。
リュウグウノツカイ——人魚伝説のモデル!?
リュウグウノツカイは、細長い銀色の体を持つ、とても美しい深海魚だよ。体長は最大で8メートル以上にもなる、世界最長の硬骨魚(こうこつぎょ)なんだ(Wikipedia – リュウグウノツカイ)。長くてひらひらする赤い背びれと、銀色に光る体は本当に美しくて、昔の人がリュウグウノツカイを見て「人魚(にんぎょ)」や「海の竜(りゅう)」だと思ったのではないかと言われているんだよ。
「竜宮の使い」という名前の通り、まるで竜宮城からやって来た使者(ししゃ)のような神秘的(しんぴてき)な姿だよね。
ダイオウグソクムシ——5年以上の絶食記録!
ダイオウグソクムシは、深海に住む巨大なダンゴムシの仲間だよ。体長は最大約45センチメートルにもなるんだ(Wikipedia – ダイオウグソクムシ)。普通のダンゴムシが約1センチメートルだから、その約45倍!手のひらに乗りきらないほどの大きさだよ。
でも、ダイオウグソクムシが一番有名になったのは、日本の鳥羽水族館(とばすいぞくかん)で飼育(しいく)されていた個体が5年43日間もエサを一切食べなかったという驚(おどろ)きの記録があるからなんだ(サンシャイン水族館 – ダイオウグソクムシ)。5年間何も食べないって、信じられないよね!深海は食べ物がとても少ないから、エネルギーをできるだけ使わずに、少ない食べ物で長く生きる能力を身につけたのかもしれないね。
デメニギス——透明な頭を持つ不思議な魚
デメニギスは、深海で最も不思議な見た目を持つ魚のひとつだよ。なんと、頭の部分が透明なドーム状になっていて、中が丸見えなんだ!透明な頭の中に、緑色に光る大きな目が見えるんだよ。しかもこの目は上を向いていて、頭の上から降ってくるエサを探しているんだ。
透明な頭は、クラゲなどの刺胞(しほう:刺す針のようなもの)から目を守るためだと考えられているよ。こんな不思議な生き物が本当にいるなんて、びっくりだね!
ラブカ——3億年の「生きた化石」
ラブカは、約3億年前から姿がほとんど変わっていないと言われる「生きた化石(かせき)」のサメだよ(Wikipedia – ラブカ)。3億年前というと、まだ恐竜(きょうりゅう)さえ生まれていなかった時代だよ。ウナギのような細長い体にフリルのようなエラを持つ姿は、まるで太古(たいこ)の海からタイムスリップしてきたみたいだね。
ラブカは普通のサメとは違って、口が体の先端(せんたん)についているんだ。大きな口にはたくさんの小さな歯が並んでいて、イカや魚を丸飲みにするんだよ。
深海生物のすごいところまとめ
- チョウチンアンコウ:発光バクテリアと共生、オスがメスに融合するユニークな生態
- ダイオウイカ:全長最大18m、バスケットボール大の目を持つ海の巨人
- メンダコ:墨を吐けない、吸盤が1列のかわいい深海タコ
- リュウグウノツカイ:8m以上の世界最長の硬骨魚、人魚伝説のモデル
- ダイオウグソクムシ:5年43日間絶食の記録を持つ深海のダンゴムシ
- デメニギス:透明なドーム状の頭を持つ不思議な魚
- ラブカ:約3億年前から姿が変わらない「生きた化石」
暗い海で光る!生物発光のふしぎ

深海は太陽の光が届かない真っ暗闇の世界……のはずなのに、実は深海には美しい光があふれているんだよ。それは、生き物が自分の体で光を作り出す「生物発光(せいぶつはっこう)」という能力のおかげなんだ。深海の光の正体について、くわしく見ていこう!
生物発光のしくみ——体の中で化学反応が起きている!
生物発光は、体の中で起きる化学反応(かがくはんのう)によって光が生まれるしくみだよ。ポイントになるのは、ルシフェリンとルシフェラーゼという2つの物質(ぶっしつ)なんだ(東京大学 – どうして深海魚は光を放つの?)。
しくみはとてもシンプルだよ。
生物発光のメカニズム
- ルシフェリン(光のもとになる物質)が体の中にある
- そこにルシフェラーゼ(酵素=こうそ、化学反応を助ける物質)が働きかける
- ルシフェリンと酸素が反応して、光のエネルギーが生まれる
- 美しい青や緑の光が放たれる!
この光は「冷たい光」と呼ばれているよ。電球のように熱くならないんだ。エネルギーのほぼ100%が光に変換(へんかん)されるから、とても効率(こうりつ)がいいんだよ(National Geographic Education – Bioluminescence)。
面白いことに、生物発光は進化の歴史の中で40回以上も独立(どくりつ)に進化していると言われているんだ(NOAA – Bioluminescence Fact Sheet)。つまり、まったく別の種類の生き物が、それぞれ独自に「光る能力」を身につけたということだよ。それだけ深海では「光ること」が生き残るために大切だったんだね。
深海の生き物の90%が光る!
驚くべきことに、水深1,500メートル以深の深海生物の約90%が何らかの形で生物発光すると推定されているんだよ(NOAA – Bioluminescence Fact Sheet、サカナト – 海で発光する魚たち)。90%だよ!深海では「光らないほうが珍(めずら)しい」と言ってもいいくらいなんだ。
光る目的は4つある
深海の生き物たちが光を使う目的は、大きく分けて4つあるよ。
1. エサをおびき寄せる(誘引:ゆういん)
チョウチンアンコウのように、光をエサに使う生き物がいるよ。暗い海で光るものがあると、虫が電灯(でんとう)に集まるように、魚やエビが寄ってくるんだ。そこをパクッと食べちゃうんだよ。
2. 敵をまどわせる(撹乱:かくらん)
ピカッと光って敵をびっくりさせたり、光る液体(えきたい)を出して敵の目をくらませたりする生き物もいるよ。ウミホタルなどがこの方法を使うんだ。
3. お腹を光らせて影を消す(カウンターイルミネーション)
中深層に住む魚の中には、お腹の下に発光器官を持っているものがいるよ。上から見ると、お腹の光が海面からの光と混ざって、シルエット(影)が消えるんだ。これをカウンターイルミネーションというよ。下から敵に見つかりにくくなる、とてもかしこい方法だね。
4. 仲間やパートナーを探す
真っ暗な深海で仲間やパートナーを見つけるのは大変だよね。だから、種ごとに違う光り方のパターンを使って、同じ種の仲間を見つけるんだ。モールス信号みたいだね!
ちょっと考えてみよう!
もし深海の生き物が光を出せなかったら、どうなると思う?エサも見つけられない、敵からも逃げられない、パートナーも探せない……。生物発光は、深海で生きていくための「スーパーパワー」と言ってもいいかもしれないね。ホタルが光っているのを見たことがある人もいるかもしれないけど、深海ではもっとたくさんの種類の生き物が、もっと多様(たよう)な方法で光を使っているんだよ。
なぜ深海の生き物は大きくなるの?深海巨大症のナゾ

深海の生き物を見ていて、「あれ?なんか大きくない?」って思わなかったかな?実は深海には、浅い海にいる同じ仲間の生き物と比べて、ずっと大きくなるものがたくさんいるんだよ。この現象(げんしょう)を「深海巨大症(しんかいきょだいしょう)」というんだ(Wikipedia – Deep-sea gigantism、Discover Magazine – Deep-sea gigantism)。
浅い海の仲間と比べてみよう!
深海巨大症のすごさは、浅い海にいる親戚(しんせき)と比べるとよくわかるよ。
| 比較する生き物 | 浅い海・陸上の仲間のサイズ | 深海の仲間のサイズ | 何倍大きい? |
|---|---|---|---|
| イカ | スルメイカ:約30cm | ダイオウイカ:最大18m | 約60倍! |
| ダンゴムシの仲間 | ダンゴムシ:約1cm | ダイオウグソクムシ:約45cm | 約45倍! |
| カニ | ズワイガニ:約70cm(脚の広がり) | タカアシガニ:約3.8m(脚の広がり) | 約5倍! |
| エビの仲間 | 普通のヨコエビ:約1cm | カイコウオオソコエビ:約34cm | 約34倍! |
スルメイカが30センチメートルなのに、ダイオウイカは18メートル。約60倍だよ!みんなの身長を60倍にしたら……150cmの人なら90メートル。30階建てのビルよりも大きくなっちゃうね。
なぜ大きくなるの?4つの仮説(かせつ)
深海巨大症の原因は、実はまだ完全にはわかっていないんだ。でも、科学者たちはいくつかの仮説(仮の説明)を考えているよ。
仮説1:代謝効率(たいしゃこうりつ)が良くなる
体が大きいと、体の大きさに対してエネルギーの消費(しょうひ)が少なくなるんだ。食べ物が少ない深海では、少ないエネルギーで効率よく生きることがとても大切。だから大きい方が有利なのかもしれないね。
仮説2:低温への適応
深海の水温は2〜4℃ととても低いよね。寒い場所に住む動物は体が大きくなりやすいという「ベルクマンの法則(ほうそく)」があるんだ。体が大きいと、体温が逃げにくくなるからだよ。
仮説3:酸素がたくさん溶(と)けている
冷たい水にはたくさんの酸素が溶(と)けるんだ。酸素が豊富だと、大きな体を維持(いじ)するために必要な呼吸(こきゅう)がしやすくなるよ。だから体を大きくできるのかもしれない。
仮説4:捕食圧(ほしょくあつ)が低い
深海には浅い海ほど多くの敵がいないんだ。敵が少ないと、のんびり成長して大きくなることができるよね。浅い海では大きくなる前に食べられちゃうかもしれないけど、深海ならゆっくり巨大化できるんだ。
深海巨大症:浅海と深海の生き物のサイズ比較(出典:Wikipedia – Deep-sea gigantism、Discover Magazine)
深海巨大症のナゾはまだ解明されていない!
ここで紹介した4つの仮説は、どれも「こうかもしれない」という段階(だんかい)で、まだ「これが正解!」とは決まっていないんだ。もしかしたら、4つの原因が全部組み合わさっているのかもしれないし、まだ誰も思いつかない理由があるのかもしれない。深海巨大症のナゾを解き明かすのは、未来の科学者——つまり、みんなの役目かもしれないよ!
深海の食べ物事情:マリンスノーと鯨骨群集

深海には太陽の光が届かないから、植物が育つことができないよ。じゃあ、深海の生き物たちは何を食べて生きているんだろう?実は、深海にはとてもユニークな「食べ物の供給(きょうきゅう)方法」があるんだ。
マリンスノー——海に降る「雪」
深海の生き物たちの一番大切な食べ物が「マリンスノー」だよ(Wikipedia – マリンスノー、名古屋大学 – 海に雪が降る?)。マリンスノーとは、海の表面近くで死んだプランクトンや生き物の死骸(しがい)、フンなどの小さな粒(つぶ)が、ゆっくりゆっくりと深海に向かって降っていくもののことだよ。それがまるで雪のように見えることから「マリンスノー(海の雪)」と名付けられたんだ。
マリンスノーが海面から深海の底に届くまでには、数週間から数カ月もかかるんだよ。途中でいろいろな生き物に食べられてしまうから、深海の底まで届くのはほんのわずか。だから深海は「食べ物砂漠(さばく)」とも呼ばれるんだ。
化学合成生態系——太陽なしで生きる世界
マリンスノー以外にも、深海には驚くべき食べ物の供給源があるよ。それが「化学合成生態系(かがくごうせいせいたいけい)」だよ(JAMSTEC – 深海にあるもうひとつの生態系、JT生命誌研究館 – 深海もうひとつの地球生物圏)。
熱水噴出口(ねっすいふんしゅつこう)は、海底の地殻(ちかく)から超高温の水が噴き出している場所だよ。その温度は最高で400℃以上にもなるんだ!この熱水には、硫化水素(りゅうかすいそ)などの化学物質がたくさん含まれている。ここに住む化学合成細菌(かがくごうせいさいきん)は、太陽の光の代わりに、この化学物質のエネルギーを使って栄養を作り出すことができるんだよ。太陽なしで生きる世界——まるで地球外生命体のヒントみたいだよね。
熱水噴出口の周りには、この化学合成細菌を利用して生きるさまざまな生き物が集まっているよ。
チューブワームは、熱水噴出口の周りに住む不思議な生き物だよ。白い管(チューブ)の中に赤い体を入れて暮らしているんだ。驚くことに、チューブワームには口も消化管(しょうかかん)も肛門(こうもん)もないんだよ!じゃあどうやって栄養を得ているかというと、体の中に住む化学合成細菌が栄養を作ってくれるんだ。チューブワームと細菌は、お互いに助け合って生きている「共生(きょうせい)」関係なんだよ。
シロウリガイも、同じように体内に化学合成細菌を持つ二枚貝(にまいがい)だよ。エラの中に細菌を飼(か)っていて、細菌が作った栄養をもらって生きているんだ。
鯨骨群集(げいこつぐんしゅう)——クジラ1頭で50年間の生態系
もうひとつ、深海のとても面白い食べ物の話があるよ。海で大きなクジラが死んでしまうと、その体は深海の底に沈(しず)んでいくんだ。これを「鯨落(げいらく/ホエールフォール)」と呼ぶよ(NOAA – What is a whale fall?)。
深海の底に沈んだクジラの骨や体には、たくさんの深海生物が集まってきて、独自の生態系を作るんだ。これが「鯨骨群集」だよ。驚くべきことに、体重40トンの大きなクジラ1頭分の炭素量(たんそりょう)は、マリンスノーの約2,000年分に相当するんだ!つまり、クジラ1頭が沈むだけで、その周りの深海生物たちは何十年も食べ物に困らないということだよ。
鯨骨群集は、大きく3つの段階を経(へ)て変化していくよ。
鯨骨群集の3つの段階
- 移動腐食段階(いどうふしょくだんかい)(数カ月〜2年):ダイオウグソクムシやヌタウナギなどの大きな生き物が集まって、肉を食べる
- 機会種段階(きかいしゅだんかい)(数年〜数十年):多毛類やゴカイなどの小さな生き物が骨の周りに住みつく
- 化学合成段階(かがくごうせいだんかい)(数十年〜50年以上!):骨に含まれる脂肪(しぼう)を分解する細菌が硫化水素を出し、それを使う化学合成細菌が繁殖(はんしょく)。熱水噴出口に似た生態系が生まれる
クジラ1頭の死が、何十年もの間、深海の生態系を支えるなんて、すごいことだよね。大きなクジラは、生きているときも死んだ後も、海の生態系にとってとても大切な存在なんだ。
深海の3つの食べ物源
- マリンスノー:海の表面からゆっくり降ってくる「海の雪」。大部分の深海生物の基本的な食べ物
- 化学合成生態系:熱水噴出口から出る化学物質を利用。太陽の光なしで生きる世界
- 鯨骨群集:沈んだクジラの体で最長50年以上続く生態系。マリンスノー約2,000年分の栄養
高い水圧にどうやって耐えているの?深海生物のすごい体

深海では、ものすごい水圧がかかっていることは前に学んだよね。マリアナ海溝の底では約1,100気圧。1平方センチメートルに1.1トンもの力がかかっているんだ。こんなすさまじい圧力の中で、深海の生き物たちはどうやって生きているんだろう?その秘密(ひみつ)を見ていこう!
「水で満たされたビニール袋」のたとえ
まず、深海の生き物が水圧に耐えられる基本的な理由を、わかりやすいたとえで説明するね(サカナト – 深海魚たちの環境適応、Honda Kids – 深海ってどんな場所?)。
水で満たされたビニール袋を想像してみよう。このビニール袋を深い海に沈めたらどうなるかな?実は、ビニール袋はつぶれないんだ!なぜかというと、袋の外側から押す力(水圧)と、袋の中の水が押し返す力がちょうど釣り合(つりあ)うからだよ。
深海の生き物の体も同じしくみなんだ。体の中が水で満たされていれば、外からどんなに大きな圧力がかかっても、中からも同じ力で押し返すから、つぶれないんだよ。つまり、体の中に空気のような圧縮(あっしゅく)されやすいものがなければ、水圧には耐えられるということなんだ。
深海生物の体の秘密
この「水で満たされたビニール袋」の原理を応用して、深海の生き物たちはいろいろな工夫をしているよ。
TMAO(トリメチルアミン-N-オキシド)
深海の生き物の体には、TMAOという特別な物質がたくさん含まれているんだ。高い水圧がかかると、普通のタンパク質は形が崩(くず)れて働けなくなってしまう。でもTMAOがあると、タンパク質の形を守ってくれるんだよ。TMAOは深海魚の「お守り」みたいなものだね。ちなみに、深海魚独特のにおいは、このTMAOが原因なんだ。
柔(やわ)らかい細胞膜(さいぼうまく)
深海の生き物の細胞を包む膜(まく)は、浅い海の生き物のものよりも柔らかくてしなやかにできているよ。高い水圧で押しつぶされても、柔らかい膜なら形を変えて耐えることができるんだ。
浮き袋がない
浅い海の魚の多くは「浮き袋」という空気の入った袋を持っていて、これで浮いたり沈んだりを調節(ちょうせつ)しているよ。でも深海魚の多くは浮き袋を持っていないんだ。深海で空気の袋があったら、ものすごい水圧でペシャンコにつぶされちゃうからね。
骨と筋肉が少ない
深海の魚は、浅い海の魚と比べて骨が細くてもろく、筋肉も少ないことが多いよ。体を軽くして、少ないエネルギーで生活できるようにしているんだ。そのぶん体はぶよぶよで柔らかくなるけど、深海では速く泳ぐ必要がないから問題ないんだよ。
深海生物の体の特徴まとめ
| 体の特徴 | なぜそうなっているの? | 代表的な生き物 |
|---|---|---|
| 大きな目 | わずかな光も見逃さないため | ダイオウイカ、ハダカイワシ |
| 透明な体 | 敵に見つかりにくくするため | デメニギス、クリオネ |
| 発光器官 | エサを集めたり、敵から身を守ったりするため | チョウチンアンコウ、ホウライエソ |
| 大きな口 | 少ないチャンスで大きなエサを丸飲みにするため | フクロウナギ、オニボウズギス |
| ぶよぶよの体 | 水圧に耐えるため・エネルギー節約のため | ニュウドウカジカ、メンダコ |
| 赤い体色・黒い体色 | 赤い光は深海に届かないため透明に見える。黒は闇にまぎれるため | アカエイラクラゲ、クロカムリクラゲ |
| 長い触手(しょくしゅ)やヒゲ | 暗闇で振動(しんどう)や化学物質を感知するため | チューブワーム、クモヒトデ |
ちょっと考えてみよう!
深海魚が浅い海に引き上げられると、体がふくらんだり、目が飛び出したりすることがあるよ。これは、深海の高い水圧に適応した体が、急に圧力が下がったことに対応できないからなんだ。逆に、浅い海の魚を深海に連れて行ったら、水圧でつぶれてしまうよ。深海の生き物たちの体は、あの過酷な環境に完璧(かんぺき)に合わせてデザインされているんだね。
沖縄のすぐ近くにも深海がある!

「深海」って聞くと、遠い遠い海の話だと思うかもしれないね。でも実は、沖縄のすぐ近くにも深海があるんだよ!しかも、世界的にも貴重(きちょう)な深海環境が広がっているんだ。沖縄の深海と、日本の深海の秘密を見ていこう。
沖縄トラフ——サンゴ礁のすぐそばの深海
沖縄トラフは、沖縄の島々の北西側に広がる海底の大きなくぼみだよ(Wikipedia – 沖縄トラフ、環境省 – 南西諸島・沖縄トラフ)。最も深いところで水深約2,200メートルにもなるんだ。沖縄の美しいサンゴ礁から、ほんの数十キロメートル先に、2,000メートル以上の深海が広がっているなんて、びっくりだよね!
沖縄トラフがすごいのは、ここに複数の熱水噴出口があることなんだ。深海の底から400℃近い高温の水が噴き出していて、その周りにはチューブワームやシロウリガイなどの化学合成生態系が広がっているよ(JAMSTEC – 沖縄熱水海底下生命圏掘削)。沖縄の海の下に、こんな不思議な世界があるなんて、ワクワクするね!
琉球海溝(りゅうきゅうかいこう)——水深7,507メートルの大深海
沖縄の南東側には、琉球海溝という巨大な海溝があるよ(Wikipedia – 琉球海溝)。最も深いところは水深7,507メートル!フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下にもぐり込んでいる場所で、超深海層(6,000メートル以深)にあたるんだ。
こんなに深い海が、沖縄から比較的(ひかくてき)近い場所にあるなんて、沖縄の海は本当にすごいよね。
沖縄で発見された新種——カブキドウケツエビ
2024年には、沖縄の深海で「カブキドウケツエビ」という新種(しんしゅ)のエビが発見されたんだよ(琉球新報 – カブキドウケツエビ発見)。「カブキ」は歌舞伎(かぶき)、「ドウケツ」は同穴(どうけつ=同じ穴に住む)という意味で、カイロウドウケツという海綿(かいめん)動物の中に住んでいるエビなんだ。深海にはまだまだ知られていない新種がたくさんいるんだね!
美ら海水族館で深海に会える!
沖縄の美ら海水族館(ちゅらうみすいぞくかん)には、「深海への旅」というコーナーがあって、約130種もの深海生物が展示(てんじ)されているんだよ(沖縄美ら海水族館 – 深海への旅)。沖縄に旅行に行ったら、ぜひ見に行ってみてね!本物の深海生物に会えるチャンスだよ。
日本の他の深海スポット
日本は四方を海に囲まれた島国だから、深海環境もとても豊かなんだよ。
駿河湾(するがわん)
静岡県にある駿河湾は、日本一深い湾で、最深部は約2,500メートルもあるんだ。ここでは2021年にヨコヅナイワシという全長約1.4メートルの巨大深海魚が発見されて、大きな話題になったよ(Science Portal – ヨコヅナイワシ、JAMSTEC – ヨコヅナイワシ撮影秘話)。深海では食べ物が少ないから、大型の魚はほとんどいないと考えられていたんだけど、ヨコヅナイワシは深海の「頂点捕食者(ちょうてんほしょくしゃ)」——つまり食物連鎖のトップに立つ存在だったんだ。
マリアナ海溝
世界最深の場所、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵(水深10,983メートル)は、日本からそう遠くない太平洋にあるよ。この超深海にも生き物がいて、最近の研究では7,564種もの微生物(びせいぶつ)が発見されているんだ(ナゾロジー – マリアナ海溝未知の微生物)。地球上で最も過酷な環境にも、生命は存在しているんだね。
沖縄の深海まとめ
- 沖縄トラフ:最深2,200m。複数の熱水噴出口がある貴重な海域
- 琉球海溝:最深7,507m。超深海層にあたる巨大な海溝
- カブキドウケツエビ:2024年に沖縄で発見された新種の深海エビ
- 美ら海水族館:約130種の深海生物を展示。本物の深海生物に会える!
深海探査の冒険:しんかい6500から最新技術まで

人間は昔から、「海の底はどうなっているんだろう?」という好奇心(こうきしん)を持ち続けてきたんだ。深海を探検するために、さまざまな技術が開発されてきたよ。深海探査の歴史と最新技術を見ていこう!
深海探査の歴史年表
| 年 | 出来事 | 到達深度 | すごいポイント |
|---|---|---|---|
| 1960年 | トリエステ号がチャレンジャー海淵に到達 | 10,916m | 人類初の最深部到達!乗組員はジャック・ピカールとドン・ウォルシュ |
| 1989年 | 日本の「しんかい6500」が運用開始 | 6,500m | 有人潜水調査船として世界トップクラスの潜航能力 |
| 2012年 | 映画監督ジェームズ・キャメロンが単独でマリアナ海溝到達 | 10,898m | 単独潜航でチャレンジャー海淵に到達した初の人間 |
| 2012年 | NHKが世界初の生きたダイオウイカの映像撮影に成功 | 約630m | 幻の巨大イカを初めて映像にとらえた歴史的瞬間 |
| 2019年 | ヴィクター・ヴェスコヴォが五大洋最深部制覇 | 10,927m | 世界の五大洋すべての最深部に到達した唯一の人間 |
| 2025年 | ダイオウホウズキイカの生きた映像が世界初撮影 | 深海 | 世界最大の無脊椎動物の生きた姿を初めて映像に記録 |
| 2026年 | JAMSTECが南鳥島周辺の深海底でレアアース調査を本格化 | 約5,500m | 海底のレアアース資源の実用化に向けた重要な一歩 |
出典:Wikipedia – チャレンジャー海淵、ギネス世界記録 – ヴェスコヴォ、WIRED – ヴェスコヴォの深海旅行記、innovatopia – JAMSTEC南鳥島レアアース
しんかい6500——日本が誇る深海探査船
日本が誇(ほこ)る有人潜水調査船が「しんかい6500」だよ(JAMSTEC – しんかい6500、Wikipedia – しんかい6500)。名前の通り、最大水深6,500メートルまで潜(もぐ)ることができるんだ。
しんかい6500は、パイロット2名と研究者1名の合計3名が乗ることができるよ。小さな丸い窓から深海の世界を自分の目で見ることができるんだ。1989年から活躍し続けていて、世界中の深海を調査してきた日本の誇りだよ。
ちょっと考えてみよう!
しんかい6500は水深6,500メートルまで潜れるけど、マリアナ海溝の最深部は10,983メートル。まだ4,000メートル以上の差があるよね。地球の海で6,500メートル以深の場所はまだまだたくさんあるんだ。日本では次世代の深海探査船の開発も検討されているよ。将来、水深10,000メートル以上まで潜れる日本の探査船が誕生する日が来るかもしれないね!
最新の深海探査技術
人間が直接潜らなくても深海を調査できる技術も、どんどん進歩しているよ。
ROV(遠隔操作型無人探査機:えんかくそうさがたむじんたんさき)
ROVは、船の上からケーブルでつながったロボットで、人間が乗らずに深海を調査できるよ。カメラやロボットアームがついていて、映像を撮影したり、深海の生き物やサンプルを採取したりできるんだ。人間が行けない危険な場所でも調査できるのが大きなメリットだね。
AUV(自律型無人探査機:じりつがたむじんたんさき)
AUVは、ケーブルでつながれずに自分で判断して動くロボットだよ。プログラムされた指示に従って、広い範囲(はんい)の海底を自動で調査できるんだ。海底の地図を作ったり、水温や塩分を計測したりすることが得意(とくい)だよ。
環境DNA(かんきょうDNA)分析
最新の技術として注目されているのが環境DNA分析だよ(JAMSTEC – 深海の謎を解き明かす革新的な手法)。生き物は水の中に自分のDNA(遺伝子情報)をわずかに残しているんだ。海水のサンプルを集めてDNAを分析すれば、実際に生き物を捕まえなくても、「この海域にはどんな生き物がいるか」がわかるんだよ。まるで名探偵のように、水の中の証拠(しょうこ)から生き物の存在を突き止める技術なんだ。
最新の深海発見ニュース
深海探査の技術が進歩するにつれて、次々と新しい発見が報告されているよ。
- 2025年:ダイオウホウズキイカの生きた映像が世界で初めて撮影された(ナショナルジオグラフィック)
- 2026年:ニュージーランド沖の深海で巨大なクロサンゴの群落が発見された(Newsweek)
- 2026年:JAMSTECが南鳥島周辺の深海底でレアアース(貴重な鉱物資源)の本格調査を開始(innovatopia)
- 日本の深海底からは続々と新種の生き物が発見されている(ナゾロジー – 日本の深海底新種)
深海探査の歴史的到達深度の推移(出典:Wikipedia – チャレンジャー海淵、ギネス世界記録)
深海は「第2の宇宙」
人類が月面に降り立ったのは1969年。でも、海底の最深部に人間が初めて到達したのは1960年で、それよりも前なんだ。それなのに、私たちは深海のことを宇宙よりも知らないと言われているよ。海底の地形が詳しくマッピングされているのは、まだ全体の約25%だけ。残りの75%は、まだ人類が詳しく調べていない未知の領域(りょういき)なんだ(笹川平和財団 – 深海生態系はどこまでわかっているのか?)。深海は、地球に残された最後のフロンティア(未開拓地)なんだよ。
深海の自由研究にチャレンジしよう!

ここまで深海の不思議な世界について学んできたみんなに、夏休みの自由研究にぴったりなアイデアを3つ紹介するよ!どれも家にあるもので簡単にできるから、ぜひチャレンジしてみてね(学研キッズネット – 深海の世界をつくろう、自由研究プロジェクト – 深海魚を調べよう)。
アイデア1:ペットボトル水圧実験
深海の水圧を体験しよう!——ペットボトル水圧実験
用意するもの
- 炭酸飲料用の丈夫なペットボトル(500ml)
- 小さなマヨネーズの容器(または小さなしょうゆの容器)
- 水
- 記録用のノート
やり方
- マヨネーズの容器に少しだけ水を入れて、空気も少し残した状態にする
- ペットボトルに水をいっぱいまで入れる
- マヨネーズの容器をペットボトルの中に入れる(容器がギリギリ浮くように水の量を調整する)
- ペットボトルのふたをしっかり閉める
- ペットボトルを手でギュッと握(にぎ)ると……マヨネーズの容器が沈む!手をゆるめると浮く!
なぜこうなるの?
手でペットボトルを握ると、中の水に圧力がかかるよ。すると、マヨネーズの容器の中の空気が圧縮(あっしゅく)されて小さくなり、容器が重くなって沈むんだ。これは深海の水圧で空気が圧縮される現象と同じしくみだよ。深海の生き物が浮き袋を持たない理由がよくわかるね!
発展的な研究
容器の中の空気の量を変えたり、握る力を変えたりして、沈み方がどう変わるかを記録してみよう。表やグラフにまとめると、とても立派な自由研究になるよ!
アイデア2:深海生物図鑑づくり
自分だけの深海生物図鑑を作ろう!
- 深海生物を10〜20種選ぶ:この記事で紹介した生き物を中心に、図鑑やインターネットで調べてみよう
- 1種ごとに1ページ使って記録する:
- 生き物の名前と絵(写真のスケッチでもOK)
- 住んでいる深さ
- 体の大きさ
- 食べ物
- すごい特徴(光る、透明、巨大など)
- 自分が「面白い!」と思ったポイント
- 深さ順に並べる:浅い深海から超深海まで、深さ順に並べると、深さごとの特徴がよくわかるよ
- 表紙と目次を作って完成!
ポイント:ただ調べるだけでなく、「なぜこの形をしているのか」「なぜこの能力を持っているのか」を自分なりに考えてみよう。そうすると、先生もびっくりするような深い自由研究になるよ!
アイデア3:深海ジオラマ工作
段ボールとLEDで深海の世界を再現しよう!
- 準備するもの:段ボール箱(大きめのくつ箱など)、黒い画用紙、青いセロファン、小型LEDライト(100円ショップで買える)、糸、粘土(ねんど)、色紙、のり、はさみ
- 箱の内側を黒く塗る:深海の暗闇を再現するため、箱の内側に黒い画用紙を貼る
- 深海生物を作る:粘土や色紙で深海生物(チョウチンアンコウ、ダイオウイカ、メンダコなど)を作る
- 生き物を吊るす:天井(てんじょう)から糸で深海生物を吊るして、泳いでいるように配置する
- LEDライトで発光を再現:小型LEDライトをチョウチンアンコウの頭や、発光生物の体に取り付ける
- マリンスノーを降らせる:白い紙を細かくちぎって糸で吊るし、マリンスノーを再現
- のぞき窓を作る:箱の横に小さな窓を開けて、青いセロファンを貼る。ここからのぞくと、まるで深海を見ているみたい!
- 各生き物の説明カードを添える
ポイント:深海の層ごとに段を分けて、「中深層にはこの生き物」「深海層にはこの生き物」と配置すると、深海の環境がよくわかるジオラマになるよ。LEDライトを暗い部屋でつけると、本当に深海みたいですごくきれいだよ!
自由研究を成功させるコツ
- 「なぜ?」を大切にしよう:ただ調べるだけでなく、「なぜ深海の生き物は光るのか」「なぜ大きくなるのか」など、疑問を持って考えることが大切だよ
- 表やグラフを使おう:数字のデータは表やグラフにすると、わかりやすくなるよ
- 自分の感想を書こう:「びっくりした!」「すごいと思った!」という気持ちを素直に書くと、読む人にも伝わるよ
- 出典(しゅってん)を書こう:どの本やウェブサイトで調べたかを書くと、研究の信頼性(しんらいせい)が上がるよ
まとめ:深海の世界はまだまだ謎だらけ!
ここまで一緒に深海の世界を冒険してきたけど、どうだったかな?たくさんの驚きがあったよね。最後に、この記事で学んだことをまとめてみよう。
この記事で学んだこと
- 深海は水深200m以深の場所で、太陽の光が届かない暗闇と高い水圧の世界
- 深海にはチョウチンアンコウ、ダイオウイカ、メンダコなど、驚くべき生き物がたくさんいる
- 深海生物の約90%が生物発光する能力を持っている
- 深海巨大症により、浅海の仲間より何十倍も大きくなる生き物がいる
- 深海の食べ物はマリンスノー、化学合成生態系、鯨骨群集の3つが主要な供給源
- 深海生物はTMAOや柔らかい細胞膜など、独自の方法で高水圧に適応している
- 沖縄のすぐ近くにも深海があり、新種の発見も続いている
- しんかい6500やROV、AUV、環境DNA分析など、深海探査技術は日々進歩している
深海はまだまだ謎だらけの世界だよ。海底の詳しい地図ができているのはまだ全体の約25%だけ。残りの75%は、まだ人類が詳しく調べていない未知の領域なんだ。これからの深海探査で、一体どんな新しい発見があるんだろう?
この記事を読んでくれたみんなの中から、将来、深海を探検する研究者や、深海の環境を守る活動家(かつどうか)が生まれるかもしれない。深海にはまだまだ発見されていない新種の生き物がたくさんいるはずだし、私たちの想像もつかないような不思議な現象が起きているかもしれない。
未来の深海探検家は、きみたちだ!
まずは、この記事で紹介した自由研究にチャレンジしたり、水族館の深海コーナーに行ってみたり、深海の図鑑を読んでみたりしてみてね。小さな一歩が、大きな冒険の始まりになるんだよ。
参考文献
- JAMSTEC GODAC – 深海とは
- JAMSTEC BASE – 海洋観測コラム:深さと圧力
- JAMSTEC – しんかい6500
- JAMSTEC – 深海にあるもうひとつの生態系
- JAMSTEC – 沖縄熱水海底下生命圏掘削
- JAMSTEC – 深海の謎を解き明かす革新的な手法
- JAMSTEC – ヨコヅナイワシ撮影秘話
- 環境省 – 南西諸島・沖縄トラフ
- NOAA – Bioluminescence Fact Sheet
- NOAA – What is a whale fall?
- National Geographic Education – Bioluminescence
- Science Portal – ヨコヅナイワシ
- 東京大学 – どうして深海魚は光を放つの?
- 東京大学大気海洋研究所 – チョウチンアンコウ
- 名古屋大学 – 海に雪が降る?
- JT生命誌研究館 – 深海もうひとつの地球生物圏
- 国立科学博物館 – みんなが聞きたいダイオウイカの話
- 沖縄美ら海水族館 – 深海への旅
- サンシャイン水族館 – ダイオウグソクムシ
- ナショナルジオグラフィック – ダイオウホウズキイカ初撮影
- CNN – ダイオウホウズキイカ映像初公開
- Newsweek – ニュージーランド深海の巨大クロサンゴ
- ナゾロジー – 日本の深海底新種
- 琉球新報 – カブキドウケツエビ発見
- innovatopia – JAMSTEC南鳥島レアアース
- Wikipedia – 深海
- Wikipedia – ダイオウイカ
- Wikipedia – しんかい6500
- Wikipedia – 沖縄トラフ
- Wikipedia – 琉球海溝
- Wikipedia – チャレンジャー海淵
- Wikipedia – Deep-sea gigantism
- Wikipedia – マリンスノー
- Wikipedia – リュウグウノツカイ
- Wikipedia – ダイオウグソクムシ
- Wikipedia – ラブカ
- サカナト – 深海魚たちの環境適応
- サカナト – 海で発光する魚たち
- Honda Kids – 深海ってどんな場所?
- 学研キッズネット – 深海の世界をつくろう
- 自由研究プロジェクト – 深海魚を調べよう
- ナショナルジオグラフィック – 水深7千mの超深海魚
- WIRED – ヴェスコヴォの深海旅行記
- ギネス世界記録 – ヴェスコヴォ
- 笹川平和財団 – 深海生態系はどこまでわかっているのか?
- ナショナルジオグラフィック – チリ沖深海生物
- ナゾロジー – マリアナ海溝未知の微生物
- Discover Magazine – Deep-sea gigantism



