子どもたちへの一番大切な贈りもの
「センス・オブ・ワンダー」
生涯消えることのない「神秘さや不思議さに目を見はる感性」、自然の中で「(子どもにとって)きれいなもの、新しいもの、未知なものに触れて感動したり、不思議だなと思う感性」を育むこと。
この感性があれば、そう感じたものについてもっとよく知りたいと思うようになり、それをきっかけで学んだ知識はしっかりと身に付く。
「センス・オブ・ワンダー」日本語訳にすると「神秘さや不思議さに目を見はる感性」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。アメリカ人女性レイチェル・カーソンが甥のロジャー(正確には姪の息子)と一緒に、海辺や森の自然の中で過ごした経験をもとに書かれた『センス・オブ・ワンダー』という著書のタイトルです。
レイチェル・カーソンは、アル・ゴア氏が「『沈黙の春』がなかったら、ひょっとすると環境運動は始まることがなかったかもしれない」と述べている『沈黙の春』の著者として非常に有名な方です。
この本の中で、人工物ではない自然の美しさ、神秘に触れること。つまり自然に触れることで育まれる力について、子ども達の感性、感じる力へ及ぼす影響について、見事に表現されています。
美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。
レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 新潮社『センス・オブ・ワンダー』より抜粋
「感じる力」が「やる気」につながる
「自然の中で過ごした時の感覚」。大自然に囲まれた環境で幼少期を過ごされた方はもちろん、日常生活の場はそうした環境でなくても、子どもの頃に、キャンプや自然教室への参加などで自然に沢山触れた経験のある方であれば、思い出せるものがあるかと思います。自然は、人間が外なる世界を感じるための五感のすべてに働きかける不思議な刺激の宝庫であり、そこで過ごす時間は未知なる体験、感動体験の機会に溢れていたと思います。
こうした体験による刺激は、脳機能も向上するということが研究でも明らかになっているそうです。
特に幼少期から少年期において、自然との触れ合いの中で見たり、聞いたり、触れたりする体験は、多くの感動や驚きを与え、子どもたちの中にある、「驚いたり、不思議に思う感性」を育ててくれます。こうした経験が、知的好奇心や探究心を目覚めさせ、様々なことに興味を持ち、「もっと知りたい」「やってみたい」「できるようになりたい」という「やる気」の種を育むことになるのです。
また、より多くの時間を自然の中で過ごす経験が、結果として環境保全や自然愛護への積極的な態度を育てることにも大きな効果があると言われています。
日本の文部科学省においても、平成28年度文部科学白書の中でも自然の中での体験活動が極めて有意義であることを記し、推進していくとしています。
体験活動は,幼少期から青年期まで,多くの人と関わりながら体験を積み重ねることにより,「社会を生き抜く力」として必要となる基礎的な能力を養う効果があると考えられています。社会で求められる仲間とのコミュニケーション能力や自立心,主体性,協調性,チャレンジ精神,責任感,創造力,異なる他者と協働する能力等を育むためには,様々な体験活動が不可欠です。
また,体験活動は,自分自身との対話,実社会との関わり等を考える契機となります。自然の中で,これまで触れたことのない物に触れながら,その存在を認める経験を積むことで,大人になり思いどおりにならない状況に直面したときにも対応できる力が付くと期待されています。平成28年度文部科学白書より
大人は何もしないことが大事?!
「そっか!自然の中でいろんなことを体験させてあげなくちゃ!」「んんん?!じゃぁ、何を準備したらいいんだ?いろいろ勉強しなきゃ!」
いざ、子ども達を自然の中に連れていこうと思うとき、森や海、川の生き物についての知識やアウトドアの知識を身に着けたり、必要なグッズをそろえなくては、、、と思われるかもしれません。
が、まずは一番身近だと思う自然にお子さんを連れていってみることからはじめてみてください。それはたった1本の大きな木といくつかの植木のみの公園かもしれませんし、自宅の庭かもしれません。
そこに着いたら、お子さんの興味のままに自由にさせてあげてみてください。
私たち大人は彼らの安全を守ること以外のことを一旦やめて、見守ることに徹してみてください。
すると、むしろ私たち大人が忘れていたような、小さな存在や沢山の遊びを発見する瞬間に立ち会うことになるでしょう。
その時、私たちは子ども達ほどこの自然とい世界のガイド役として適任な存在だということにも気づかされます。
そして時折、「ママ見てーーーー!」「パパ見てーーーー!!」とその発見や感動を私たち大人へ教えてくれます。
その時こそ、彼らの見つけた感動に満ちた世界の入り口が開かれ、私たち大人が忘れかけていたその世界での体験を一緒にするチャンスが到来した瞬間なのです。
そして、その感動を一緒に味わうことができたとき、子ども達はその感動を「誰かに伝えること」「感動を共有する」楽しみを知るのです。
レイチェル・カーソンは、こんな風に言っています。
「妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。」
子ども達に自然の中ででの体験を通して、「驚いたり、不思議に思う感性」、知的好奇心や探究心育むコツは、そばにいる大人が子ども達と一緒に自然を見つめ、子ども達と一緒に感動したり、共感したりすること。
後になって、子どもがもっと知りたくなったら、調べるのを手伝ってあげること。その2つと言えるかもしれません。
最後にもう一度レイチェル・カーソンの著書『センス・オブ・ワンダー』より、私たちへの大きなインスピレーションとなるであろう一節をご紹介させていただきます。
もし、あなた自身は自然への知識をほんのすこししかもっていないと感じていたとしても親として、たくさんのことを子どもにしてやることができます。
たとえば、子どもといっしょに空を見あげてみましょう。そこには夜明けや黄昏(たそがれ)の美しさがあり、流れる雲、夜空にまたたく星があります。
子どもといっしょに風の音をきくこともできます。それが森を吹き渡るごうごうという声であろうと、家のひさしや、アパートの角でヒューヒューという風のコーラスであろうと。そうした音に耳をかたむけているうちに、あなたの心は不思議に解き放たれていくでしょう。
雨の日は外にでて、雨に顔を打たせながら、海から空、そして地上へと姿をかえていくひとしずくの水の長い旅路に思いをめぐらせることもできるでしょう。
あなたが都会でくらしているとしても、公園やゴルフ場などで、あの不思議な鳥の渡りを見て、季節の移ろいを感じることもできるのです。
さらに、台所の窓辺の小さな植木鉢にまかれた一粒の種子さえも、芽をだし成長していく植物の神秘について、子どもといっしょにじっくり考える機会を与えてくれるでしょう。レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 新潮社『センス・オブ・ワンダー』より
著者プロフィール
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アパレル、ブライダル業界を経て、約8年間大手通信会社の人事総務業務に従事。
その後米国CCE,Inc.キャリアカウンセラーの資格を取得し独立。
また、パーソナルカラリスト、司会、MCなどの経験を活かし、女性支援プロジェクトに参画し、女性のためのスクールの企画運営に携わる。
2011年10月に新たな機会を得てライフスタイルを重視する生き方へシフトチェンジをし、2012年に大好きな沖縄へ移住。
2014年結婚し、2016年に男児を出産。
産後も自分のミッションに基づき、素晴らしい仲間と共に、仕事、ボランティア活動を通して世の中へ価値を届けることに尽力。
2019年”今の子ども達がリードする未来の地球は今よりも美しい世界”というビジョンの元、”地球となかよし”をテーマにプロジェクトを始動。
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